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東寺の謎 の商品レビュー

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2019/11/26

本書は、長い歴史を誇る東寺という寺の成り立ち、空海の指導下での勃興、空海の伝記的な情報を含めた紹介や、空海が説こうとした真言宗や仏教のこと、寺に在る様々なモノに関する事柄やそうした貴重なモノが辿った経過、更に著者自身が「僧侶にして教育者」ということで東寺や当時が関連する学校に関わ...

本書は、長い歴史を誇る東寺という寺の成り立ち、空海の指導下での勃興、空海の伝記的な情報を含めた紹介や、空海が説こうとした真言宗や仏教のこと、寺に在る様々なモノに関する事柄やそうした貴重なモノが辿った経過、更に著者自身が「僧侶にして教育者」ということで東寺や当時が関連する学校に関わった人生に関するエッセイというような具合に、盛沢山の内容が収められている。 東寺は、平安京の建設の構想当初から建設が設置された寺であり、当時と変わらない場所に永い時を経た現在でも在って活動を継続しているという存在で、永い歴史を誇る京都に在っても特異な存在だ。「現存する唯一の平安京の遺構」とさえ呼び得るのだ… ここに登場するのが、当時から敬愛された空海なのだが、この人物は「当時の大物文化人」ということに留まらず、“密教”という新しい思想を紹介して発展させ、それに基づく新たな様式の仏像の制作に関与し、寺院の建設や土木工事の指揮を執り、自身は能書家で文章家であった「文化史上の巨人」という大きな存在感を有し、更には民間信仰の対象というようになって生き続けている。そういう様子が巧みに紹介されているのが本書だ。 東寺は平安京の草創期からの永い歴史を有する存在で、荒廃してしまった時期、存亡の危機に陥ったような時期を乗越えている。また貴重な仏像等が傷んでしまって、それを修復して来たような経過も多々在る。そういう経過の紹介も非常に面白い。 更に秀逸なのは、末尾に付された「僧侶にして教育者」として歩まれた著者自身の人生に関するエッセイだ。東寺に在って、終戦後の混乱の中から寺の活動を立て直し、“弘法市”を巡って警察の協力も得ながら利害関係者との様々な調整を行うようになって行く辺りのことや、現在では「京都の有名進学校」として知られる洛南高校を育んだ話し等、「この部分だけで独立した一冊?」という面白さだった。 本書の御蔭で「文化史上の巨人」たる空海が身近になり、彼が懸命に創建に携わった東寺に関して様々なことを知ることが叶った…取り出し易い場所に置いて、随時参照したいとも思うような一冊だ。非常に手軽な文庫本でもあり、広く御薦めしたい!

Posted byブクログ

2011/01/18

赤い倍音の月の年・7の月の5日 KIN21 赤い銀河の竜の日  東寺を生まれて初めて訪れた。少年時代、自分に約束した事を実行。「和尚さんに誘われて訪れる場所」と、心に決めていたお寺である。 帰宅してからの眠りは、願いが叶った安堵で深さが違っていた。 千年以上前から、あの地に在るも...

赤い倍音の月の年・7の月の5日 KIN21 赤い銀河の竜の日  東寺を生まれて初めて訪れた。少年時代、自分に約束した事を実行。「和尚さんに誘われて訪れる場所」と、心に決めていたお寺である。 帰宅してからの眠りは、願いが叶った安堵で深さが違っていた。 千年以上前から、あの地に在るものとしての存在感は、多くの人々の驚きと感動、感銘と畏敬など、多くの想いを想像させる凄いものだった。 坂本竜馬さんも、この建物を前にして、どう感じたのかを想像したくなりました。

Posted byブクログ