茉莉子 の商品レビュー
大学生と芸妓という2つを両立させて日々を過ごしていた木野茉莉子はある日、天袋にまるで隠してあるかのように保存されていた1枚の写真を見つける。そこに写っているのは幼き日の自分――?しかし隣りに写る女性にも背景にも覚えはない。思い切って母親に尋ねたが、彼女は明らかに顔色を変えて話を...
大学生と芸妓という2つを両立させて日々を過ごしていた木野茉莉子はある日、天袋にまるで隠してあるかのように保存されていた1枚の写真を見つける。そこに写っているのは幼き日の自分――?しかし隣りに写る女性にも背景にも覚えはない。思い切って母親に尋ねたが、彼女は明らかに顔色を変えて話をはぐらかした。これにより、茉莉子は昔から感じていた疑惑を強める。私は母の実の子ではないのではないだろうか? ”試験管ベビー”、いわゆる体外受精がテーマの作品。今となっては珍しくもないが、これが書かれた頃では斬新だったのではないだろうか。それによって生まれた側の心情が書かれている点でも評価できると思う。茉莉子視点の現代と、そして絹子という舞妓視点の過去が交互に描写されていく。両者の繋がりはほぼ想像通りだったが、最後は茉莉子同様、少し勘違いさせられていた。しかし真相を知った時の茉莉子の動揺やショックは当然だろう。エゴではないと言い訳していたが、壺内の行動に関してはやっぱりエゴだと思う。昔の京文化といわれればそうなのかもしれないが、正妻とではなく妾との不妊治療にそこまで力を注いでいたり、妾が死んだ後に関係ない女性に子供の世話を頼んだり、あまつさえ代理出産までさせるとか・・・!照代に関しても、自分が子供ができない身体でもないのにそこまで「茉莉子」に拘って壺内に協力するところが理解できない。話としてはおもしろかったけど、登場人物達の心の動きにはあまり同調できなかった。
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ミステリーっていうのかしら?? 最初2つのお話が進んでいて、 ちょっと頭がこんがらがりつつも、 ああ、やっぱそうなのか、と思うような。 前半部はあまり進まなかったけど、 半分あたりから先が気になって、 どんどん読める感じです。 最後、ちゃんと、戻れていますように・・・
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夏樹静子さんの作品はわりと好きでこれまでもいくつか読んできたが、今回『茉莉子』で初めて殺人事件でないミステリーを読みました。 主人公・茉莉子が自分の存在を確かめるべく、謎を解き明かしていくミステリー。 緻密かつ確かな構成はやはり夏樹静子の看板に偽りナシ!登場人物たちの持つ、それ...
夏樹静子さんの作品はわりと好きでこれまでもいくつか読んできたが、今回『茉莉子』で初めて殺人事件でないミステリーを読みました。 主人公・茉莉子が自分の存在を確かめるべく、謎を解き明かしていくミステリー。 緻密かつ確かな構成はやはり夏樹静子の看板に偽りナシ!登場人物たちの持つ、それぞれの愛の豊かさにも惹かれるものがありました。 ただ、途中から先の読める展開であったのが少々残念というところでしょうか。私は物足りなかったです(ΘωΘ)
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