情痴小説の研究 の商品レビュー
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2001年(底本1997年)刊行。明治時代からの情痴小説(主として初老の男性が、これも主として若い女性、多くは玄人に対して、邪な愛を持ちつつ、それに狂い、あるいは悶々とする様子を描く小説)を解読するもの。著者の些かの上から目線、情痴小説を教訓化しようとする点に辟易。個人的には小説を教訓として読む態度は持ち合わせていない。むしろ、解説にある、恋愛の不自由さ、タブーがなくなりつつある現代においては、恋愛に狂うことが少なく、情痴小説の核が成り立たなくなっている、という説明が一番腑に落ちた。
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「情痴小説」とは、分別あるべき中年から初老にかけての男が色香に迷って理性を失う物語を扱った小説のことです。本書は、徳田秋声から渡辺淳一まで33人に及ぶ「情痴小説」の系譜をたどり、そこに描かれた男たちの「ダメ男」っぷりを明らかにしています。 なお「解説」を担当している清水良典は、...
「情痴小説」とは、分別あるべき中年から初老にかけての男が色香に迷って理性を失う物語を扱った小説のことです。本書は、徳田秋声から渡辺淳一まで33人に及ぶ「情痴小説」の系譜をたどり、そこに描かれた男たちの「ダメ男」っぷりを明らかにしています。 なお「解説」を担当している清水良典は、田山花袋、徳田秋声、近松秋江など明治・大正時代の情痴小説に比べると、現代の渡辺淳一に近づくほど、「小説の力が薄れ退屈になっていく感が強い」と述べていますが、どうもありきたりな指摘のような気がします。立原正秋や渡辺淳一が、明治・大正時代の作家たちとスケールの大きさに違いがあるというのは、いまさら指摘されるまでもないことで、むしろ近代日本文学の幹を形成している私小説を、現代の渡辺淳一まで至る「情痴小説」という系譜のもとで見なおす視座を設定したところに、本書のおもしろさがあるように思うのですが。
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