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毛沢東夫人 江青の真実 の商品レビュー

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2012/05/04

NHKでドキュメンタリーを見たのをきっかけにこの本を手に取ってみた。 江青は歴史に名を残す悪女とは聞いていたが、これほどとは……。 どこまでも自己中心的。 「虎の威を借る狐」ならぬ「毛沢東主席の威を借る女狐」か。。。 ともかく自分の生命・生活だけが大事。 こういう自分の痛みが世の...

NHKでドキュメンタリーを見たのをきっかけにこの本を手に取ってみた。 江青は歴史に名を残す悪女とは聞いていたが、これほどとは……。 どこまでも自己中心的。 「虎の威を借る狐」ならぬ「毛沢東主席の威を借る女狐」か。。。 ともかく自分の生命・生活だけが大事。 こういう自分の痛みが世の中のすべてのような人間が権力を握っては、その国は不幸になるだろうとつくづく思わされた。 高校の日本史では、文化好きの先生のせいで、安土桃山時代を3分ですっ飛ばしたにもかかわらず、明治維新までもたどりつかず、私は現代史をほとんど学んでいない。 なので、文化大革命についても、映画の一シーンで見たりとか、断片的な知識しか持ち合わせていないので、全容がよくわかっていない。 だから、本1冊だけを読んで、登場人物について断ずることは危険だろう。 もっと多角的にアプローチしていかなければ、とは思う。 この本は、江青の秘書を務めた人の著作で、江青に振り回され続けたその苦労がしのばれる。 江青は、ものすごい自己顕示欲の持ち主で、絵に描いたような野心家。 あきれるばかりの江青の無理難題を、ときには毛主席、当時の周恩来首相に何度となくとりなしてもらい、彼らはピンチを切り抜けていく。 この本だけを読めば、毛沢東は心の広い偉大なリーダーであったように映る。 でもそもそも毛沢東が無類の女好きだからこそ、こんな江青と結婚したんだし、腹黒さがあるからこそ、権力闘争をくり返し、様々な悲劇が起きたんだよなあ。。。 この嫉妬深く、猜疑心のかたまりで、人の痛みを全く感じようとしない女による「文化大革命による粛清」の名を借りた個人的復讐のために、いったいどれだけの尊い命が犠牲になったことだろう。。。 劉少奇夫人の王光美をはじめ、その手は、周恩来首相の養女・孫維世にまで及んだ。。。 好き放題し尽くした彼女は、毛沢東が亡くなったとき、その死を哀しむ以前に、「私自分がその後釜に就くという野心を満たすチャンスだ」という喜びがあったようだ。。。 自分を護ってくれた権力者がいなくなり、自分の立場も危うくなるとは考えなかったのだろうか。 そこまで、彼女は「自分の力・影響力」を過信・錯覚し、それはもう「妄想」の世界といってもいいかもしれない。 また四人組の裁判において、「死刑」を言い渡されるところの動画があるが、江青の態度はひどいな、本当に。 最期の最期まで、「反省」のかけらもない。 死刑判決には執行猶予がついていたうえ、途中で無期懲役に減刑されているのが解せない。 残虐な限りを尽くした人間の最期は、非業の死を遂げても不思議ではないのに、結局、江青たち四人組に死刑は執行されなかった。 このあたりが中国の不思議なところだ。。。 死を何よりも恐れていたはずの江青は、最期は自殺をしたが、当時はすでに病魔に冒されていたということで、自分が「主役」のまま人生を終えたいがためだったのだろう。。。 稀代の悪女としてだが、歴史に名を遺したことで、彼女的には十分満足かもしれない。。。

Posted byブクログ