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ポイズンウッド・バイブル の商品レビュー

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2009/10/04

舞台はコンゴ。物語は1959年、コンゴ独立の一年前から始まる。アメリカ人宣教師が布教活動の為に一家を伴ってコンゴでの生活を始める。 話はその4人の娘――世俗的な快楽を優先する長女レイチェル、宣教師の父を崇拝する真面目で優秀な二女レア、その双子の妹で左半身不随の障害をもち常に斜に構...

舞台はコンゴ。物語は1959年、コンゴ独立の一年前から始まる。アメリカ人宣教師が布教活動の為に一家を伴ってコンゴでの生活を始める。 話はその4人の娘――世俗的な快楽を優先する長女レイチェル、宣教師の父を崇拝する真面目で優秀な二女レア、その双子の妹で左半身不随の障害をもち常に斜に構えた物の考え方をする三女エイダ、無邪気だが鋭い観察眼を持つ年の離れた末っ子ルース・メイ――たちの口から語られる。 この小説は単に話が面白いだけではない。非常に多くの、そして大きなテーマが含まれている。アフリカの圧倒的な自然や、現地の文化、言語、価値観、生活、宗教、さらには政治と、何もかもが独特で、強烈な印象をもつ。一家の女性たちはこれらの慣れない環境に放り込まれ(しかもアフリカへ連れてきた本人である父は全く家族を顧みない)、非常に困難で厳しい現実に直面するし、生死の境をもさまよう。自分たちの信じていた世界観を根本から揺すぶられる強烈な体験の繰り返しである。 そのような厳しい日々を経て、彼女たちはそれぞれ違った方向に、だが力強く成長する。 そんな彼女たちの視線を借りて、読者はこの多様なテーマについてさまざまに考えさせられるだろう。 まあ、そういう小難しいことを念頭に置かなくても、この小説はまず何より素直に楽しめるので、分量にしり込みせずにぜひ挑戦することをオススメしたい。

Posted byブクログ