ファシズム時代のシオニズム の商品レビュー
ドイツ・シオニストたち自身、ナチスに降伏したとは思っておらず、むしろきわめて政治家らしい妥協獲得気分で独りよがりにナチ・パートナーになれたと思い込んでいたのがありのままの事実であった。ナチの下、他のユダヤ人に対して勝ち誇れるようなユダヤ人はいなかったはずである。ヒトラーとユダヤ人...
ドイツ・シオニストたち自身、ナチスに降伏したとは思っておらず、むしろきわめて政治家らしい妥協獲得気分で独りよがりにナチ・パートナーになれたと思い込んでいたのがありのままの事実であった。ナチの下、他のユダヤ人に対して勝ち誇れるようなユダヤ人はいなかったはずである。ヒトラーとユダヤ人の間に妥協は全くあり得なかった。いったんヒトラーがドイツ国内で勝利すれば、ユダヤ人に希望はなかった。彼らに残された唯一の道は亡命であり、亡命先から闘い続ける以外になかったはずである。多くのユダヤ人、なかんずくシオニストはヒトラーのパトロネージを得られるものと夢想し続けたのだった。ヒトラーが権力の座に就く以前も、シオニストは戦わなかった。ヒトラーの政権掌握前ならば、彼を打倒するチャンスはなお存在した。しかし彼らはチャンスを生かさなかった。臆病からではない。ヘルツルから受け継いできた最も強い確信、すなわち反セム主義に勝つことはありえないという確信から、ヒトラーとも闘わなかった 。
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[ 内容 ] 世界戦争の谷間でユダヤ人たちがホロコーストの予兆におびえていたファシズムの時代に、シオニストたちは何をしたか。 シオニズム運動を世界史的視野で考察しつつ、シオニストとナチとの知られざる関係を剔抉した画期的反シオニズム史論。 [ 目次 ] ホロコースト以前のシオニズムと反セム主義 「血と土」―シオニズムの人種論のルーツ ドイツのシオニズム運動とヴァイマル共和国の崩壊 シオニズムとイタリア・ファシズム ドイツ・シオニズムのナチズムへの協力申し出 ユダヤ人の反ナチ・ボイコットとシオニスト=ナチ通商協定 ヒトラーはシオニズムをどう見ていたか パレスティナ―アラブ、シオニスト、イギリス、ナチス 世界ユダヤ人会議 改訂派シオニズムとイタリア・ファシズム〔ほか〕 [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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