仲蔵狂乱 の商品レビュー
みなしごから歌舞伎の千両役者にまで上り詰めたかと思えばまた振り出しに。他人の世話を受けて生きてきた仲蔵の人との関わり方が興味深いが、複雑な歌舞伎界の仕組み、役者の格や襲名の仕組みなど、歌舞伎を知らない自分にもとてもよくわかる興味深いオススメの一冊。
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10年くらい前の正月、初めて歌舞伎を見ました。その時の演目が『義経千本桜』。このなかの見せ場が「碇知盛」で、壇ノ浦で最後を悟った平知盛が碇をかついで海に飛び込むシーン。 『仲蔵狂乱』の中には、このシーンの誕生の逸話が描かれています。これを読んで、この場面みたい!と思ったのがき...
10年くらい前の正月、初めて歌舞伎を見ました。その時の演目が『義経千本桜』。このなかの見せ場が「碇知盛」で、壇ノ浦で最後を悟った平知盛が碇をかついで海に飛び込むシーン。 『仲蔵狂乱』の中には、このシーンの誕生の逸話が描かれています。これを読んで、この場面みたい!と思ったのがきっかけでした。 歌舞伎の世界の事細かなところまで、詳細に書かれていて、どっぷり浸れます。どろどろとしていて、人間臭いところがリアルでいいです。 歌舞伎に行く前に解説本を読むより、これを一冊読んだほうが、よっぽど感応できます。
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二代目役者ではもなく、まさに腕一本で、千両役者に駆け上っていく仲蔵の人生、そこにある芸の道に生きる孤独・・・。 調べぬかれた時代考証のもとに、人物像の強さとはかなさが際立つ。 ときに人の情けにぐっときたり、芸の道の情け容赦ない仕打ちに 胸をつかれたり・・・。 心があちらこちらと揺...
二代目役者ではもなく、まさに腕一本で、千両役者に駆け上っていく仲蔵の人生、そこにある芸の道に生きる孤独・・・。 調べぬかれた時代考証のもとに、人物像の強さとはかなさが際立つ。 ときに人の情けにぐっときたり、芸の道の情け容赦ない仕打ちに 胸をつかれたり・・・。 心があちらこちらと揺さぶられただけに、ラストシーンの美しさに 胸うたれる・・・。 美しい人、仲蔵の姿がまるで観たかのように心から離れない。
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歌舞伎は大好きです。だから、仲蔵というと幸四郎・染五郎親子競演の『夢の仲蔵』!読んでいる間頭の中の映像はこの舞台でした。 主人公の仲蔵はもちろんのこと周りの登場人物がみんな魅力的で 田沼意次や団十郎などもっと深く彼らのことも読んでみたいと 次の読書リストへの鍵を貰った感じです...
歌舞伎は大好きです。だから、仲蔵というと幸四郎・染五郎親子競演の『夢の仲蔵』!読んでいる間頭の中の映像はこの舞台でした。 主人公の仲蔵はもちろんのこと周りの登場人物がみんな魅力的で 田沼意次や団十郎などもっと深く彼らのことも読んでみたいと 次の読書リストへの鍵を貰った感じです。 今朝子さんは以前『奴の小万と呼ばれた女』を読みましたが、この時も同じように思いました。人物がどれも生き生きとしていて 単調な部分がなくサクサクと読み進められるのが今朝子さんのこの手の小説の特徴ではないでしょうか。 歌舞伎興味のない方でも充分楽しめると思います。
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江戸時代の歌舞伎役所を主人公にした小説。 現代とは大分違うかもしれないけど、興業主と役者との関係や、改名、一門のことなんかが分かって面白かった。 ストーリー的には、前半の孤児から千両役者へ成り上がっていく部分が、様々な人との交流が描かれていて面白かった。 後半はゴシップ的な話や、...
江戸時代の歌舞伎役所を主人公にした小説。 現代とは大分違うかもしれないけど、興業主と役者との関係や、改名、一門のことなんかが分かって面白かった。 ストーリー的には、前半の孤児から千両役者へ成り上がっていく部分が、様々な人との交流が描かれていて面白かった。 後半はゴシップ的な話や、政治の歴史的な話が多くて、話の勢いがなくなった感じがした。
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松井今朝子さんは直木賞の「吉原手引草」以来2冊目(刊行順だとこちらが先だけど)。今朝子さんは時代考証がしっかりしてるのが分かるから、小説を読む楽しみと時代風俗を知る楽しみの両方を味わえていい。 エンタメ要素は手引草の方があったけど、こういう普通の構成の方が時代物は楽しめるかも。
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江戸時代の歌舞伎役者、仲蔵を描いた小説。 中村仲蔵は、親を亡くして身元もはっきりしない。 どことなしに愛嬌のある子だったのは知らない大人に養って貰うほかなかったためもあった。養母に踊りを仕込まれ、厳しい下積みに耐え、出世しようとしかけるとねたまれて辛酸をなめる。 それもいつしか演...
江戸時代の歌舞伎役者、仲蔵を描いた小説。 中村仲蔵は、親を亡くして身元もはっきりしない。 どことなしに愛嬌のある子だったのは知らない大人に養って貰うほかなかったためもあった。養母に踊りを仕込まれ、厳しい下積みに耐え、出世しようとしかけるとねたまれて辛酸をなめる。 それもいつしか演技のすごみに繋がり… 定九郎の役の工夫で出世。 田村意次の時代、自殺しかけたところを助けてくれたお侍がその配下といった時代背景も織りまぜられて、巧み。 四代目を父に持つお坊ちゃんの五代目・幸四郎とは幼い頃に面倒を見た仲。 ライバルの錦次は色子あがりで策謀家。染五郎、高麗蔵と名を変えていく。 団十郎、菊五郎、勘三郎といった今に伝わる有名な名前の役者たちも登場、せめぎ合いと盛衰が生々しい。 仲蔵は人柄がいいのが救い。 当時の歌舞伎興行のありさま、熱気が伝わってきます。 1998年単行本発行。
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江戸時代、浪人の子から 実力で歌舞伎の花形まで上り詰めた中村仲蔵。 読み終わってから、実在の人物を題材にした小説だってわかってびっくりした。 たまたま養子先が梨園だったことから、 養父養母に見込まれて、舞をたたき込まれて。 でも素性がわからない子だってことで、 下積み時代にはひ...
江戸時代、浪人の子から 実力で歌舞伎の花形まで上り詰めた中村仲蔵。 読み終わってから、実在の人物を題材にした小説だってわかってびっくりした。 たまたま養子先が梨園だったことから、 養父養母に見込まれて、舞をたたき込まれて。 でも素性がわからない子だってことで、 下積み時代にはひどいイジメにあったけど、それにも耐え抜いて、 看板役者になった人。 歌舞伎界の複雑な内情を描きつつ、 それに魅せられた人を描いていたなって。 この著者が歌舞伎のTV解説番組をしていたから たまたま手に取った小説。 <第八回時代小説大賞受賞作>
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田沼意次の時代、孤児から役者の養子となり、厳しい修行、役者同士の妬み、争いなどを乗り越えて人気役者への道を歩き続けた稀代の歌舞伎役者の話。時代の荒波に揉まれ続けた動乱の役者人生を味わえた。松井今朝子の時代物は相当に痛いところもあるけれどやはりじっくり魅せてくれる。役者として大成す...
田沼意次の時代、孤児から役者の養子となり、厳しい修行、役者同士の妬み、争いなどを乗り越えて人気役者への道を歩き続けた稀代の歌舞伎役者の話。時代の荒波に揉まれ続けた動乱の役者人生を味わえた。松井今朝子の時代物は相当に痛いところもあるけれどやはりじっくり魅せてくれる。役者として大成する話を期待して読むとガッカリするだろうが、人気という水物に支えられた一人の役者の波乱に満ちた人生を読むという感じ。読む人を選ぶかもしれないが、心に残る話だった。
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江戸時代、孤児の身から苦労に苦労を重ねて、歌舞伎界の大物役者になっていく主人公仲蔵の生涯。おもしろくなかったわけではないけれど、なんだろう、ところどころ、ものすごく引き込まれる部分と、なんだか退屈になる部分が交互にあらわれるような感じ。個人的に、名前の継承の話とか、家どうしの争い...
江戸時代、孤児の身から苦労に苦労を重ねて、歌舞伎界の大物役者になっていく主人公仲蔵の生涯。おもしろくなかったわけではないけれど、なんだろう、ところどころ、ものすごく引き込まれる部分と、なんだか退屈になる部分が交互にあらわれるような感じ。個人的に、名前の継承の話とか、家どうしの争いとか、座の政治的なかけひきとか、時代背景の話になると、退屈してしまうような。もっともっと仲蔵個人の話だけ読みたかった気がする。
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