虚子俳句問答(上) の商品レビュー
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高浜虚子が、次女星野立子が主催する雑誌「玉藻」で読者からの俳句に関する質問に答えたもの。 「決して物にならぬことはありません。作句を止めたあなたを想像して御覧なさいまし。余程落莫たる感じのものになるであろうと思います。句作を励んでおること、そのことがあなたの生活を勢いづけていることと思います。」31p 「病友に奨めておりますが、散歩も許されず句会にも出られない人にはー想像の句でもお作りになる方がよろしいと思います。また、室内に起こって来る春夏秋冬の変化によく意をとめて、これを写生なさるがよかろうと考えます。」42p 病室にいて思うように句作ができない、高齢になってから句作を始めたなどの弱い立場の人への回答は、その人の心を立て起こす思いやりに満ちている。 単に俳句が上手いのではない、人としての魅力に感動した。 俳句に関する指導は、そのまま人生指南である。 写生句を推奨するも、それは実は心の奥深くまで描写、推察する鋭さに満ちているからだ。
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