生きている過去 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
テーマは面白いが、カサノヴァについて延々と詳細に記述したり、繰り返しに過ぎない無駄な章が散見されたりと、本業詩人の作者による素人小説といった感じで、成功作とは思えなかった。
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産業革命の波が押し寄せるなかで、依然として過去にすがりつづける者たちの話。ここで言う「過去」とは古き伝統的フランスや過ぎ去った恋愛のノスタルジーのことで、そのような「過去」に囚われるあまり主人公は狂気にも似た自閉症的症状に陥ってゆく。このようなテーマは世紀末のフランスで流行ったお...
産業革命の波が押し寄せるなかで、依然として過去にすがりつづける者たちの話。ここで言う「過去」とは古き伝統的フランスや過ぎ去った恋愛のノスタルジーのことで、そのような「過去」に囚われるあまり主人公は狂気にも似た自閉症的症状に陥ってゆく。このようなテーマは世紀末のフランスで流行ったお決まりのものだが(ユイスマンスの『さかしま』)、本書は比較的ロマネスクで、ストーリーの起伏があるから読みやすい。何よりタイトルがいい。
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現在の事象に過去が深く絡み合って物語が進んでいく様は流れるような美しさです。過去に縛られ過去の世界で生きる者と新世界を生きる者の見事な対比,そのなかで生じた愛情ははたして『過去』によってもたらされたのか,あるいは『現在』によってもたらされたのか。全体的になんともいえないアンニュイ...
現在の事象に過去が深く絡み合って物語が進んでいく様は流れるような美しさです。過去に縛られ過去の世界で生きる者と新世界を生きる者の見事な対比,そのなかで生じた愛情ははたして『過去』によってもたらされたのか,あるいは『現在』によってもたらされたのか。全体的になんともいえないアンニュイな雰囲気が漂っています。 恋愛に入るまでのお膳立てが少し長くて退屈したので☆は4つ。 内容は本当に素晴らしいです。レニエの作品をもっと読みたくなりました。
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フランスの耽美派詩人アンリ・ド・レニエによる小説。 これを読んだ衝撃は強かった。 「自分は時代を間違えて生まれてきたに違いない」 そんな違和感を感じている人にお薦め。 読んでいくうちに、悲しく美しい物語の雰囲気が心に染み入ってきます。
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