熱力学入門 の商品レビュー
「本書は、基本的には、伝統的な熱力学の構成に従っている。状態方程式と熱容量という測定可能な物質の熱力学性質にもとづいて、内部エネルギー、絶対温度、エントロピー、自由エネルギーという高度な物理量に到達していく。」(p.5 1.4 本書の特色) 表記法や前提(公理)のステートメン...
「本書は、基本的には、伝統的な熱力学の構成に従っている。状態方程式と熱容量という測定可能な物質の熱力学性質にもとづいて、内部エネルギー、絶対温度、エントロピー、自由エネルギーという高度な物理量に到達していく。」(p.5 1.4 本書の特色) 表記法や前提(公理)のステートメントの仕方に、著者独自の工夫が随所に見られる。例えば、熱力学系が外部からされた仕事を、状態関数ではなく、始状態・終状態の指定も含めた過程の関数であると明示して書いている、など。 著者が「はじめに」で指摘しているように、熱力学は物理学の中でも特に論理展開がわかりにくいと思う。勿論何か対象を調べてある特徴が見つかれば、最初の定義に代えてその特徴をもって定義としても良いわけで(同値)、従って、どこから語り出すかというスタイルによって論理展開は異なり、その意味では論理がわからないというのは熱力学に限った話ではないのかもしれないが、とにかく熱力学は言葉が多い! 本書は、何を前提として種々の結論を導いたのかをはっきりわかる形で書いてあり、ありがたい。 1 序論 (背景 熱力学とは 現象) 2 設定 (平衡状態 物質の熱力学性質 熱と仕事 形式的設定 準静的過程) 3 熱力学第1法則 (熱とエネルギーの等価性 内部エネルギー 断熱曲線) 4 熱力学第2法則 (永久機関 等温過程における熱力学原理 2温度熱機関 カルノーの定理 絶対温度) 5 エントロピー (不可逆性 エントロピーの本質 証明 例:理想気体のエントロピー 完全な熱力学関数 例:可逆熱機関) 6 熱力学関係式 (自由エネルギー 微分形式による記述 エネルギー方程式 例:温度に依存するばね 例:相転移にともなう熱) 7 安定性と変分原理 (等温環境の場合 断熱環境の場合) 8 多成分流体の熱力学 (多成分流体の熱力学関数 例:2成分理想気体 希薄溶液の自由エネルギー)
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公理論的な構成。芦田熱力学とは異なる論の進め方で、戸惑う部分と新たに理解を深めた部分があった。 日本語が上手くないところ、読者へのちょっとした配慮を欠いているところがあるため、無用な学習の停滞を招いたのは少し残念だ。 入門とあるが、熱力学の1冊目としてふさわしいかどうかは疑問...
公理論的な構成。芦田熱力学とは異なる論の進め方で、戸惑う部分と新たに理解を深めた部分があった。 日本語が上手くないところ、読者へのちょっとした配慮を欠いているところがあるため、無用な学習の停滞を招いたのは少し残念だ。 入門とあるが、熱力学の1冊目としてふさわしいかどうかは疑問。 演習問題に解答が無いのも不親切。 誤植が2箇所あったにもかかわらず、訂正頁がWEBにない。
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