恐怖の痕跡 の商品レビュー
1993年から2002年に青春BEST文庫から、怪奇ゾーン特報班名義で発表された13の怪談集の11作目。2000年作品。 今作の編集協力のクレジットは「●GARDEN/吉村栄一/日比野敦/米倉まりえ」で、クレジットの序列は違えど、前作と同メンバー。 今作でも、怪奇体験談をリア...
1993年から2002年に青春BEST文庫から、怪奇ゾーン特報班名義で発表された13の怪談集の11作目。2000年作品。 今作の編集協力のクレジットは「●GARDEN/吉村栄一/日比野敦/米倉まりえ」で、クレジットの序列は違えど、前作と同メンバー。 今作でも、怪奇体験談をリアルに再現、という体裁ですが、このシリーズらしいホラー短編集という感じですね。ただ、今作では、体験談らしい体験談も数編収録されていました。 収録作、全29編は、ほぼ、文庫本で10頁未満の作品ですが、2編だけ19頁のものがありました。 どちらも、忌み地を扱った、読み応えのあるものでしたね。 取り壊された旧家の跡地に八軒の建売り住宅ができたが、一軒も売れない、というシチュエーションにときめく「首の行方」は、怪異の正体が最後に判明するというところがオールドスクールな怪談。 もう一編の「奇禍の石」も、殺生石がある空き地を囲むようにできたニュータウン、という、やはりときめくシチュエーション。 こちらは、怪異の原因は殺生石だとわかっているのに、その殺生石の由来がはっきりとはわからない、というオチに、更にときめきました。 体験者が小学生で虫採りの最中に空き地に足を踏み入れる、というシチュエーションもノスタルジックでたまりません。
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