パソコンが奪った漢字を取り戻せ! の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
この本を買った時(20年くらい前?)、私も「そうだ!そうだ!パソコンのせいで漢字が書けなくなったんだ」と思ったものだ。 だから漢字検定の勉強もしたし、今でも職場の中では圧倒的に手で字を書いていると自負している。自慢にはならないが。 でも、やっぱり書けない。 年々書けなくなっている。 なんでやねん。 答もこの本に書いてありました。 ”毎日、記憶細胞が減っているので、どんどん漢字を忘れる。” なーんだ、全然パソコンのせいじゃなかったじゃん。 いや、忘れるからこそ、忘れるペース以上に覚え続ける訓練も必要なのだろうけれど。 この本が出た当時、島根県のとある市が、町内で週に一度の「パソコンノーデー」を作ったそうだ。 「行政は人間相手の仕事なのに、パソコンやワープロに向かってさえいれば仕事をしていると勘違いしている若手職員が多い」のがその理由。 稟議書もすべて手書きに改める…っていうのは、行き過ぎのような気がするけど、まだ生きているのかしら。 河野大臣の脱印鑑アピールのせいで、役所は未だに印刷した紙に印鑑を押して決裁を回しているように思われているけれど、国の機関は全省庁統一の文書システムで、電子決裁が当たり前。 うちの職場は100%電子なので、仮に手書きの稟議書でないと受け付けないと言われたら、手書きの紙をPDFにしなければならない。 紙と印鑑に頼っているのは、予算の余裕がない小さな部署か、霞ヶ関くらいだと思うわ。 霞ヶ関はねえ、証拠を残さず文書の改ざんをするために(?)、または緊急やむをない処理が必要なために、紙を持って担当者が回る式の決裁がまだ多いようです。(私が見た範囲では) 閑話休題。 読んだり書いたりの問題を解きながら、漢字について学んでいくのは大変面白いのだけど、一つ、これは間違いだろうという箇所があって、とても気になった。 送り仮名のない漢字の読み問題の後、送り仮名のある漢字の問題が載っているのだが、「拉致」「癌」「無垢」「傀儡」「喋り」…って。 どうも、フリガナのことを送り仮名と言っているっぽい。 新聞や雑誌からの抜き出しだというから、原典に当たらないと確かなことは言えないけれど、「拉致」も「癌」も送り仮名なんて必要ない。 「喋り」の「り」みたいのを送り仮名という。 編集部は何も思わなかったのだろうか? 面白かったのが、「卍」についてのコラム。 学生とのやり取りが書いてある。 「卍は記号なのか、それとも漢字なのか」 「それは、先生、記号でしょう。まさかこんな記号のような漢字はないと思うので」 「この卍は《まんじ》と読んで、立派な漢字なんだよ」 「へぇー、それは知らなかった」 最後の一文はやはり「マジ、マンジ~?」って言って欲しかったな。 当時このフレーズがなかったことは知っているけどさ。 さて、最後に、私が思うパソコンのありがたさは、「憂鬱」とか「黴」などの画数の多い文字を拡大して確認できること。 漢和辞典を拡大鏡で覗き込んでも、わかりにくい文字はわかりにくい。 ただしフォントによっては正確といえない場合もあるので、点の位置や、角度、などを正しく知りたい時は、教科書体で確認することが望ましい。
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