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聖林輪舞 の商品レビュー

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力作です。著者がLA…

力作です。著者がLAに住んでいるので、こういうノンフィクションが書けるのかも。

文庫OFF

2021/03/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

アメリカを彩った伝説のスター、政治家、大富豪、凶悪犯罪者の島田流伝記。これがやたらと面白い。 島田氏の練達の筆の冴えもその要因だが、やはり何といっても現在の世にも名を轟かせている希代の著名人たちの、一般人とはかけ離れた人生劇場が物凄く面白いのだ。 題名の英語版は「ハリウッド・ロンド」であるからこれはハリウッド・スターのみを取り扱ったものかと思えばさにあらず、ハリウッドに魅せられ、ハリウッドに踊らされ、またハリウッドに毒され、最後にハリウッドに蝕まれた者たちの鎮魂歌なのだ。16の有名人(一家)が扱われており、そのどれもが非常に面白い。 前半のハリウッド黎明期のスター達―早川雪洲、チャップリン、キートン、ディーン―では今ではなかなか知りうることの出来ないハリウッドの裏側を詳細に紹介し、一般に英雄とされるハワード・ヒューズが実は晩年、狂人的な生活を送り、寧ろ不幸であったこと。プレスリーという不世出のロックスターもやはりメディアの毒に負け、死んだ事。ヴェトナム戦争がアメリカ人に与えた暗い翳がチャールズ・マンソン事件のような惨劇を生み出したこと。アメリカの病巣を抉り出す筆致はしかし、物静かだ。 唯一、フレッド・アステアのエピソードが非常に温かく、破顔してしまった。ジェームズ・ディーンが男色家だったのは驚きだし、キートンの幼少の頃のコントみたいな扱われ方も非常に面白かった。 ハリウッド、この特殊な街、いや特殊な世界が訪れるものを狂わせる。人生の半ばはそれが与える栄光で金銭的、性的幸福を得られるかもしれない。 しかし、末路は皆一様に人の数倍も不幸である。今日もハリウッドでは誰かが金に酔い、誰かが不幸のどん底に陥っているのだろう。

Posted byブクログ