骸の誘惑 の商品レビュー

雨宮町子(著者)

2011/06/06

弟のバイク事故に疑問を持ち、そのとき弟に何が起こったのか、何を思ってたのか調べだす姉。
事故後、消えた弟の彼女。彼女は何者？といった感じで話は進みます。

途中、同じように前妻を探す男と知り合い、なぜかその男に気に入られる・・・。やけに唐突だったな。え？嫌ってたんじゃ？とか思ってたのに、あらら・・・。

二人で調べていくうちに、弟の彼女の正体とその背後にあるものが分かってくるわけですが。
背後の組織が、姉の会社がかかわっているという、なんとも世の中狭い状態。
調べだし始めた段階で、その会社も解雇するなり何か対策しそうなものだが、そのままなのだ。ちょっとその辺が？？？でしたね。

結局、何年か前によくニュースで取り上げられていた「自己開発セミナー」がらみのマインド・コントロールが背景にあったのですが、セミナーの実態は宝石セールスマンの育成にあったり。

自分はこういうのにはひっかからない！と思っていても、今の自分に不満を持っていて、何かできるはず、自分を変えたい、と思っている人たちが次々とはまっていく様子は、不気味でした。
ラストもそういう人がまだまだはまり込んでいくという、やるせないものに。

ラストの男の前妻を助け出すところは、読者も姉もただ待つのみ。原稿枚数の都合なのか、それとも？　どうやって助け出したのか、そこで何が起きたのかは分からずじまい。　ただ、「時間がかかったけど、無事に助け出したよ・・・」で終わってしまった。あららー、それでいいのかなぁ。

どんな謎なんだろうって期待して読み進めたけど、案外ありがちな結果になりちょっと残念でした。