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鎌倉のおばさん の商品レビュー

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2014/07/26

鎌倉のおばさん、とは、著者の祖父、村松梢風の妾である“絹江” この、絹江の死の報を受け、筆者は叔父とともに、彼女が梢風の死後守ってきた、鎌倉の家を訪れる。 そこは到底人の住めるような家ではなく… これ、本当に実話なんでしょうか、昭和の文士の火宅ぶり、物凄い。 放蕩三昧、女に生...

鎌倉のおばさん、とは、著者の祖父、村松梢風の妾である“絹江” この、絹江の死の報を受け、筆者は叔父とともに、彼女が梢風の死後守ってきた、鎌倉の家を訪れる。 そこは到底人の住めるような家ではなく… これ、本当に実話なんでしょうか、昭和の文士の火宅ぶり、物凄い。 放蕩三昧、女に生きた梢風。 しかし、それを芸の肥やしと心得ていたか、遊興資金を工面してスーツのポケットに忍ばせておく絹江。 梢風の派手な文士ぶりは、絹江が演出していたのであろうか? 本妻の“そう”は、絹江が表に立つようになって、いつしか影の存在になる。 いかにも昭和、興味深い。 これ、宮尾登美子だったら、“そう”がヒロインの小説になったのかな?などと思いました、なんとなく。

Posted byブクログ

2012/03/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

不思議な感じのタイトルだと思って読んでみた本。村松友視の祖父は作家の村松梢風だが、梢風という人は大変な艶福家だったらしい。その梢風の、愛人ではあるが、鎌倉の家に住んで実質的には妻として振る舞っていた絹枝が、「鎌倉のおばさん」である。 絹江は虚言癖があるかなり変わった人だったのだが、彼女の死をきっかけに、梢風の生き様や、友視の生い立ち、そして絹枝の存在意義などを追っていったのが本書。小説というより、ルーツ探しの本に近い味わいを持つ。 梢風という人は、小説家としては大したことがなかったようなのであるが、晩年にいたって、急に開眼したかのように、優れた作品を次々と書いていった。そこに絹枝の果たした役割や、梢風の本妻であり、友視の祖母でありながら、戸籍上は友視の母でもあった「そう」とのコントラストなどが、うまく描かれている。案外おもしろかった。

Posted byブクログ