社長のモラル の商品レビュー
社長が社員に平気で嘘…
社長が社員に平気で嘘をつく腐敗の構造を検証。特に世襲した社長にありがち。
文庫OFF
戦後日本の企業事件についての概略が示された本だった。正直な所、これだけでは背景などを深く知ることができないため、文中に度々出てくる関連書籍を購入することになるだろう。 自分がどういう企業事件に興味があるか、というのを知るツールにはなるだろう。
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リクルート事件の真っ最中、リクルート社のPR誌の仕事をしていた。 店舗等へ取材依頼をするのだが、軒並み取材拒否。勿論、事件の 影響である。 住友銀行の支店長射殺事件の時は、住友銀行の仕事をしていた。 「住友に打ち合わせに行って来ます」と事務所で言うと、 「撃たれるなよ~」と先輩...
リクルート事件の真っ最中、リクルート社のPR誌の仕事をしていた。 店舗等へ取材依頼をするのだが、軒並み取材拒否。勿論、事件の 影響である。 住友銀行の支店長射殺事件の時は、住友銀行の仕事をしていた。 「住友に打ち合わせに行って来ます」と事務所で言うと、 「撃たれるなよ~」と先輩に言われた。出入り業者まで標的に されては堪らん。 世界的な技術を持ちながら粉飾決済事件で信用が地に落ちた オリンパスの事件も記憶に新しい。 本書は戦後に起きた企業事件を簡潔にまとめて、経営者や経営陣 のモラルの低下を指摘している。 内紛劇やら、会社の私物化やら。もうやりたい放題。そして、事件 として表面化しても反省の色もなし。言い逃れと責任逃れでどうに かしようとする。 日本の有名企業のすべてが本書に取り上げられている企業のような ところばかりではないだろうが、暗澹たる気持ちになるね。 それでも、役員会で自分に反対する意見が出なくなった時に、危険な 兆候だと感じて辞任を決意した住友金属鉱山の社長のような人もいる。 そして、凄かったのは大沢商会の人事部長だ。同族経営の失敗など 色んな要素が重なって倒産。会社更生法の適用を受けたが、入社が 決まっていた新卒者がいた。 人事部長は奔走する。採用予定だった50人のうち、43人の転職先を 確保したばかりか、子会社工場で働いていた障害者たちの受け入れ 先をも確保する。 そして、全てが終わって自ら会社を去っていく。 近年、不況の影響で内定取り消しなんて企業があるが、この大沢商会 の人事部長のようなことはしてないだろうな。格好いいじゃないか。 取り上げれている事件を扱った企業小説や経済小説の引用が 多数あるので、清水一行や高杉良の小説が読みたくなる衝動に 駆られる。
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