本日順風 の商品レビュー

野田知佑(著者)

読者による質問に対し…

[文庫ＯＦＦ]

読者による質問に対して著者が答えるという形の本。アウトドアについての著者の考えが知ることができる。

2024/04/24

1996年に地球丸より刊行され、大幅に加筆したものをまとめた本。
清々しく、気持ち良い。
この時代のアウトドア事情を感じることが出来た一冊。
野田知佑さんの痛快な回答にも恐れ入るが、当時はこれが許されていたんだなーと時代の面白さと羨ましさを感じます。
例えば今YouTuberたるものがこの返答をすれば、実力がなければ(恐らくあっても？)炎上ものです笑
それと相談主が比較的若い人が大半をしめ、それこそ学生までも旅やユーコン川に出ようとしている。
昔は良かったと嘆く人たちの気持ちが少しわかった気がします…。
今を考える際に、こういった時代について学べる本は本当に素敵です。

2023/06/06

　1996年地球丸より刊行されたものを大幅に加筆したものである。

　自分で考えて行動をする。自分で行ったことの責任は自分に帰すものである。個人のあり方、個人の自由についてよく考えられるのが、アウトドアである。著者の思想が余すことなく問答としてまとめられている。

　結局頼ることができる最後の砦というのが、自分ということが分かる。基本的な構成は、アウトドアに関する単純な質問から生き方、女性とのつきあいに至るまで書いてある。現在のチャラチャラしたアウトドアの風潮や国策としてのダム建設（長良川河口堰、吉野川可動堰等）に対しての毅然とした態度がはっきりしている。問答を通して自然を楽しむためには、どう行動すればいいのか。結局は自分である。言い訳をするのは、自分が甘えている証拠ということになる。

2018/08/05

お前それアラスカでも同じこと言えるの？

アウトドア雑誌の人生相談コーナーは回答も超ワイルドです。

カヌー冒険家である野田知佑氏によるアウトドア雑誌の読者相談コーナーの文庫化。カヌーの技術、アウトドアの悩みに親切に回答、、、かと思いきや、「甘ったれるなボケ！」と言わんばかりにバッサバッサと切り捨てる。

例：

（クラブのホステスをしている女性からの質問）
最近たまにくるお客さんで「一緒にカヌーに乗せてあげる」と口説くんです。やっぱり何か下心があるんでしょうか？
↓
君がいい女だったら、やっぱり下心はあるんだろうね。君がいい女でなかったら、彼は君を単なる「重し」と考えているのである。

野田さんは若いとき、旅をしてどういうものを見つけたのですか。僕は旅の間に見つけたと思ったものは、日本に帰ってくるとすぐ、壊れてしまったよな気がすます。
↓
旅で見つけたものが君の身につかないのは、君が単に馬鹿だからだ。
君、旅行なんか止めて家で昼寝でもしていた方がいいぞ。

外国を旅した時に知り合ったアメリカ人が日本にやってきて、ぼくのアパートに住み着いてしまいました。追い出すべきでしょうか？
↓
そんなことをいちいち他人に相談するな。自分で考えろ。馬鹿め。

それもこれも、アウトドアで冒険に出たら、基本、頼りになるのは一人だけ、との野田氏の姿勢が見て取れる。
いちいち他人に意見を求めたり、ルールがないと自分で判断できないのは甘えているだけ、なのだ。

「ぼくはアウトドアにおけるあらゆる規則、制度に反対する。われわれの頭の中にある人間としての良識で十分だ。（中略）
規則や規律を強調する人間は、自分の良識のなさ、自制力のないことを告白しているのである。自分を縛る規律がないとやっていけない、というのはとても幼稚な精神だ。」

こんな痛快（で身も蓋もない）な人生相談は見たこともない。

アウトドアに限らず、一人旅をしたい人にはぜひ読んでほしい一冊。