西洋古代・中世哲学史 の商品レビュー
期待以上の良書。それぞれの時代背景について触れながら個々の哲学者を取り上げられているため、一般的に馴染みの薄いヘレニズム~中世における思想史とはキリスト教がプラトン、そしてアリストテレスをどのように神学に吸収していくかの歴史であることがよくわかる内容になっている。また、アリストテ...
期待以上の良書。それぞれの時代背景について触れながら個々の哲学者を取り上げられているため、一般的に馴染みの薄いヘレニズム~中世における思想史とはキリスト教がプラトン、そしてアリストテレスをどのように神学に吸収していくかの歴史であることがよくわかる内容になっている。また、アリストテレス以降につきまとう議論の難解さというものが中世末期のオッカムやクザーヌスらによって削ぎ落とされ、そこに見出された体系的思考法と数学における論拠の絶対性が科学へと繋がっていく様子が浮かび上がるのは感動を覚えるほどの発見であった。
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ギリシア神話(ヘシオドス)からクザーヌスまでを扱い、思想と思想の連関を示していて良質な教科書だと思う。イオニア学派、ソフィスト、ストア学派なども新しい研究成果がもりこまれていて、いろいろなイマジネーションがわく。ヘラクレイトスとマルクス、ストアとソシュールなどだ。柱はプラトン・アリストテレス・プロティノス・アウグスティヌス・トマス=アクィナスであり、後期スコラではドゥンス=スコトゥス、ウィリアム=オッカム、神秘思想ではエックハルト・クザーヌスを扱い、近世スコラのスアレスに言及して終わっている。プラトンではイデア説、アリストテレスでは現実態と可能態、「思惟の思惟」である神などのコンセプト、新プラトンでは流出説、アウグスティヌスでは実存的懐疑と証明説などが後世に影響を与え、トマスの「存在」(エッセ)の解釈につながっていく。アリストテレスが存在者の存在を哲学したのに対し、トマスは「存在そのもの」を論じ、存在が活動をふくみ、神の分有であることを論じる。このような存在論はオッカムの思考節約(オッカムのカミソリ)によって批判されていく。ドミニコ会やフランシスコ会や、修道院神学とスコラ哲学のちがい、大学の成立なども論じられていて、示唆に富んだ内容になっている。
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非常によく編まれた文章で無駄がないため、薄い本だが質は高い。 哲学の入門書としてお手本となる書籍であろう。
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哲学書の2冊目。入門書にしては重い内容だったが、気合を入れれば読めない本ではない。中世西洋哲学でキリスト教との融合は個人的に参考になった。
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[関連リンク] 二十六日目 - なんて退屈。: http://d.hatena.ne.jp/wtnbt/20100706/1278983716
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[ 内容 ] 初期ギリシアから近代の幕明けまで曲折に富む西洋哲学二千年の歩みを主要思想家とその核心的教説を軸に一望する余人をもっては書きえない決定版通史。 原典引用多数、文献表・索引完備。 [ 目次 ] 古代哲学の誕生 ソクラテス以前の哲学 ソフィストとソクラテス プラトンの哲...
[ 内容 ] 初期ギリシアから近代の幕明けまで曲折に富む西洋哲学二千年の歩みを主要思想家とその核心的教説を軸に一望する余人をもっては書きえない決定版通史。 原典引用多数、文献表・索引完備。 [ 目次 ] 古代哲学の誕生 ソクラテス以前の哲学 ソフィストとソクラテス プラトンの哲学 アリストテレスの理論哲学 アリストテレスの実践哲学 ストア学派 新プラトン主義 キリスト教哲学の起源 アウグスティヌスの思想 十二世紀の初期スコラ学 十三世紀のスコラ学とアリストテレスの受容 トマス・アクィナスの哲学 十四世紀の後期スコラ学 中世の神秘思想と近代への移行 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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目でなぞるだけで終わってしまった(後半は特に)。古代ギリシャ哲学が中世の哲学にどう発展したのかが知りたかったんだけど、素人にはかなり難しい本でした。放送大学のテキストだとか。西洋哲学習いに行きたい。
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