ヒトラーVS.スターリン 独ソ開戦 の商品レビュー
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2000年刊行。外交に長けていたスターリンが、何故にヒトラードイツのバルバロッサ奇襲にて、抜き差し難い大損害を被ってしまったか。この疑問に、ソ連未公開史料も渉猟しつつ、本書は一定の回答を出そうとする。その回答も興味深いが、スターリンがヒトラーを手玉に取る様子の方が興味深い。独ソ不可侵条約締結後、スターリンは約定した軍事物資の対独供給を渋りつつ、対独戦を巧みに回避し、他方対英仏戦線にドイツを向わせ、また、バルト三国等への自国の勢力扶植を図る。が、ドイツの対ソ侵攻時期の誤読が緒戦の大敗と物資の消耗を招いた。 この状況を、本書は丁寧に読み解いていく。ちなみに、先の疑問の本書による回答は、ソ連が対独先制攻撃を準備し、それが相当進展し、そろそろ侵攻開始を意図した段階でバルバロッサ奇襲を受けたというものだ。ドイツの攻撃は予期していたが、対独攻撃準備を急ぐ余り、防衛準備を後回ししていたというのだ。個人的な回答を持ち合わせているわけではないものの、独ソ関係は狸と狐の化かしあい風なため、著者の見方もさもありなんと思える。
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