野性の実践 の商品レビュー
思っていたほど難解ではなく、けっこうすらすらと読めた。もちろん、そう感じさせられるのは訳者の力に負うところ大であろう。 下段の訳注は、いちいち頁を繰らなくて済んだのがよかった。こういう些細なことも、本文通読を容易ならしめる大きな要素と思う。
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“カルチャーとクラッブド”より抜粋。 家を離れ、古代のウィルダネスへ探索に出発する。 だがそこは、危険で恐怖に満ち、獣や敵でいっぱいの場所だ。このような形で他者と出会うには、内面的にも、外面的にも、安心感と安全性を投げ捨てて寒さと空腹を受け入れ、何でもためらわず食べることを要求される。二度と家に戻れないかもしれない。孤独が食パンだ。 自分の骨が、いつの日か、どこかの川岸の泥の中から出てくるかもしれない。だが、この探検には、自由、心の広がり、開放感がある。 すべてから解き放たれる。拘束もない。しばらくは狂気でもいい。タブーなどぶち壊し、罪の一歩手前だ。しかし、それが謙虚さを教えてくれる。 出かける-食を断って-ひとり歌い名がら-種の垣根を越えて生き物と語り合い-祈りながら-感謝をささげながら-帰ってくる。 これほど美しく、トレイルを歩く以外の目的で、山に入るものの心を代弁する文章に出会ったことはありません。
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