エッフェル塔試論 の商品レビュー
[ 内容 ] 古典的な「表象」の崩壊に代わって「イメージ」の出現という出来事が成立する時点において、恐らくエッフェル塔とは、西欧の表象空間に起きたこの地の竣工の日付をこの認識論的断層の上に重ね合わせることが可能であるように思える。 エッフェル塔の伝記を辿ってゆくとき、こうした「近...
[ 内容 ] 古典的な「表象」の崩壊に代わって「イメージ」の出現という出来事が成立する時点において、恐らくエッフェル塔とは、西欧の表象空間に起きたこの地の竣工の日付をこの認識論的断層の上に重ね合わせることが可能であるように思える。 エッフェル塔の伝記を辿ってゆくとき、こうした「近代」的な「イメージ」の生成過程と、それを可能ならしめた文化的・社会的・政治的力学の諸条件が、或る模範的な姿で浮かび上がってくる。 近代と表象とをめぐるさまざまな問題を体現した特権的な塔を透徹した論理と輝かしくも華麗なエクリチュールで徹底的に読み解く記念碑的力作。 [ 目次 ] 序章 「無用性」の美学のために 第1部 三百メートルの鉄塔 第2部 階級と地政学 第3部 相似・反復・投射 終章 「近代」あるいは未了の空位期 [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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無用性/有用性、鉄/鋼(そして石)、パリ/アメリカ、芸術/工学、科学/産業、曲線/直線、技師/建築・・・そして、近代/前近代。エッフェル塔に現れるあらゆる「記号」を読み尽くそうとする著者の偏愛的なまでのエッフェル塔に関する論考。虚空へと突き伸びるエレヴェーター〈機能〉やイメージ伝...
無用性/有用性、鉄/鋼(そして石)、パリ/アメリカ、芸術/工学、科学/産業、曲線/直線、技師/建築・・・そして、近代/前近代。エッフェル塔に現れるあらゆる「記号」を読み尽くそうとする著者の偏愛的なまでのエッフェル塔に関する論考。虚空へと突き伸びるエレヴェーター〈機能〉やイメージ伝播の運動性としてのエッフェル塔の議論などがとても面白いけれども、やはり最後の映画とエッフェル塔の関係性から浮上する「イメージ」としてのエッフェル塔は、表象からイメージへと移り行きつつ、同時にそこに「近代」の幕開けを見取る、その議論には興奮しっぱなし。とてもとても面白かった。
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