新編 八犬伝綺想 の商品レビュー
前近代の産物とされる後期読本の王者「南総里見八犬伝」 単純明快勧善懲悪、“仁義八行の化け物”たちの古き時代の物語と一般に言われるけど、果たして本当にそうなのか? シェイクスピア、メルヴィル、マーク・トウェインなど英米文学や思想、神話・伝説などと、様々な形で自由奔放に比較したその時...
前近代の産物とされる後期読本の王者「南総里見八犬伝」 単純明快勧善懲悪、“仁義八行の化け物”たちの古き時代の物語と一般に言われるけど、果たして本当にそうなのか? シェイクスピア、メルヴィル、マーク・トウェインなど英米文学や思想、神話・伝説などと、様々な形で自由奔放に比較したその時、八犬伝の真の主題と真の主人公が明らかにされる――八犬伝が前時代の書物でなど、あるものか! 全ての八犬伝読者と八犬伝ファンを驚愕させる一冊がここにある。この書を読む者よ、八犬伝に関する一切の幻想を捨てよ! と言うわけで意気込んであらすじというか紹介文を書いてみたんですが、長年読んでみたかった綺想ようやく読了いたしました。ブクログ、最初は22年前に出た福武ブックス版の方を登録してたんですけど、こちらの方が「江戸の二重王権」「八犬伝の海防思想」という現在の八犬伝解釈ではおそらく通説となっている重要な二編が収録されているのでこっちで登録し直しました。 私の八犬伝解釈や八犬伝観は、この書に影響されてサイトを開設した伏姫屋敷のゆーかさんに依るところが大きいので然程大きく動揺することはなかったのですがそれでも結構きついものがありました。でも何度も線を引いたり、そういうことだったのか、と大きく膝を打ったりするところもありました。「英米文学もわかってないとわからない」とちくま版後書きでも小谷野氏が書いてますが(ざっくり書いちゃったけど)確かにあらゆる知識に通暁してないとピンとこないかもしれないです。が、私は学術研究の場を離れて久しいし頭パー子ちゃんだから本当の意味で全部理解し切れてないんだろうけど、それでもすごく面白かったし、こういう八犬伝の読み方もあるんだなあ認められてるんだなあと思えばいろいろ新しいものが見えてくると思います。だから八犬伝創作する人やしなくても好きな人は皆これ読んでその上で創作するとちょっと面白いんじゃないかな、と思います。私もそのつもりです。 もうちょっと個人的な想いとか読むに至った経緯はブクログじゃなくてブログの方で綴ります。読み終わった時のツイート小谷野氏にRTしていただいて嬉しかったです~この場を借りて、RTありがとうございました♪
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いわゆる日本のポストモダン論者の理論を以て、八犬伝を読み解くというもの。ハックルベリーの記述は面白かったが、それ以外のところはいつものように衒学臭が過ぎる。
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この人、八犬伝そのものには大して愛着なさそう。だからこそ書けるであろう第六輯以降の犬士への身も蓋もない切り口が面白い。他文学との比較が多すぎて訳わからん辺りは若気の至りか(元は学生論文)。で、あとがきが未だ若気の至りが滲んでて面白かった。「きっと売れてないから本を乱発するんだろう...
この人、八犬伝そのものには大して愛着なさそう。だからこそ書けるであろう第六輯以降の犬士への身も蓋もない切り口が面白い。他文学との比較が多すぎて訳わからん辺りは若気の至りか(元は学生論文)。で、あとがきが未だ若気の至りが滲んでて面白かった。「きっと売れてないから本を乱発するんだろう」と福田や宮台に同情している辺り、絶対わかってて書いてると思う。
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