鯨と原子炉 の商品レビュー

ラングドンウィナー(著者),吉岡斉(訳者),若松征男(訳者)

2023/03/05

自然論者からの技術批判ではない。原子力の話題だけでもない。技術は人類やその文化も変化させるという観点から、その技術とのつき合いを考えるべきということを出発点に論述は続く。二項の思考や、リスクという言葉に潜む落とし穴に気をつけるべきといった、斜めからの視座を指摘いただく。翻訳者の後書きにあるように、たとえば強力に原子力を止める論拠になるわけではないけれども、問題を考えるルールを含めた全体考を意識させられる。

結局何が言いたいんだーという気持ちになるかもしれないが、そういった問題をシンプルに理解しようという思ってしまう気持ちにも、問題は潜んでいるのだろう。