消えさりゆく物語 の商品レビュー
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久しぶりに北さんを読んでみようかと。。。 北さん本人を思わせる老人が、街中で突如として時代や場所様々な幻視に入り込み、暫くして戻ってくるというパターンの多い短編集。 もともと掴み所の無い作家さん。ユーモアたっぷりのマンボウシリーズ。ひたすら昏くて重い若い頃の「幽霊」や「夜と霧の隅で」。山岳文学の絶品「白きたおやかな峰」。未読ですが世評の高い「楡家の人々」「輝ける碧き空の下で」。 最初は何が言いたいのか戸惑いながら読んでいたのですが、途中から若き日の北さんらしい感性(軽井沢や強羅の思い出、乗馬、少年愛など)が随所に現れてきます。一方でそれらを語るのは年老いて寿命を感じつつある北さんです。その二つのギャップが何か不思議な感覚でした。
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自らの生死を水に例えた 水の音は 異常に精神的で引き込まれた。 無謀にも どこか に連れて行かされ戻れなくなる、引き返せなくなるこの感覚はどこか心地良くて苦しい。 箱根登山鉄道の終着駅や南軽井沢のドライブインシアターの話はふと行ってみたくなるようなものだった。
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北杜夫の描く子どもは所謂「子どもらしさ」、ヤングアダルトのような悩みや無邪気さ、成長等々といったものとは遠いところにいる感じ。それでいて、子どもの頃の感覚を思い出すような。私自身は経験したことのない状況ばかりなんだけど。多分、北杜夫の描く子どもというのは良くも悪くも“子どもとはこ...
北杜夫の描く子どもは所謂「子どもらしさ」、ヤングアダルトのような悩みや無邪気さ、成長等々といったものとは遠いところにいる感じ。それでいて、子どもの頃の感覚を思い出すような。私自身は経験したことのない状況ばかりなんだけど。多分、北杜夫の描く子どもというのは良くも悪くも“子どもとはこういうもの”という概念(創作における)から自由なんだろう。子供の頃著者の感じていたこと、執筆している年齢の著者が感じていることが混ざり合っている。こういう子どもを描こうという作為があまりない気がする。 (「みずうみ」が好きだった。後はあまり印象に残らず(今回は)。異国でヨーロッパ系の二人の少年が出会う話) 北杜夫は会話文より、少年はそのとき◯◯を目に留めた、とか◯◯と感じたとか、何気ない動作や表情の描写といった、語り手の補足が良い。
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北氏の小説は瑞々しい感性が好きで、青年時代は「幽霊」「楡家の人々」などを愛読したものです。期待して読んだのですが、著者の老化を感じてしまいました。むしろ、年齢に応じた問題意識で当たり前ともいうべきですが・・・。初老期を迎えた男性の妄想の世界の哀しさを感じました。
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戦争体験に基づき現実と戦時中の空想世界を描いている?私の理解不足で著者が訴えたいことがわからない。途中から飛ばし読み。
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