評伝ドストエフスキー の商品レビュー
ロシア正教の教義と実践に詳しいモチューリスキーによる詳細な作品解説がこの評伝の最大の特徴です。 中身はなんと、754ページ! まさにドストエフスキー評伝の金字塔と呼ぶにふさわしい堂々たる威容です。 なぜこれほどのボリュームなのかと言いますと、ドストエフスキーの生涯に沿って全...
ロシア正教の教義と実践に詳しいモチューリスキーによる詳細な作品解説がこの評伝の最大の特徴です。 中身はなんと、754ページ! まさにドストエフスキー評伝の金字塔と呼ぶにふさわしい堂々たる威容です。 なぜこれほどのボリュームなのかと言いますと、ドストエフスキーの生涯に沿って全ての作品について解説しているからであります。 つまりこの1冊で伝記と作品解説の両方がなされているということになります。 ひとつひとつの作品がドストエフスキーの人生とどのようなかかわりがあるか、これ以上ないというほど詳細かつわかりやすく解説されています。 ・・・とはいえ、内容はかなり専門的です。入門書としては厳しいかもしれません。 と言いますのも私は一度この本を読むのに挫折しています。その時はドストエフスキー全集を読み始めていた時期で、まだドストエフスキー作品のあらすじすらつかめていない状態でした。 その状態でこの評伝の詳細な解説や専門的な内容を読んでもなかなかピンと来なかったのです。 そのうちこの圧倒的なボリュームと濃厚な中身に徐々に頭のエネルギーが削られていき、もうだめだと挫折してしまったのでした。 しかし多くの伝記や参考書を読み、2周目のドストエフスキー全集に入ったときにはこの評伝から受けるイメージは一変していました。 一度作品を読み、ざっくりとでもその内容が頭に入った状態でこの本を読むと、驚くほど新鮮な発見を与えてくれます。 自分が一度目に小説作品を読んだ時には気付かなかったことがこれでもかと出てきます。おかげで2周目に小説を読むときには前とは全く違ったもののように見えるようになりました。
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大部な一冊ですが、難解な本ではありません。後半はとくに作品の成立過程と批評が中心になります。無難な評伝です。なお、訳者は『カラマーゾフの兄弟』ではなく『カラマーゾフ兄弟』と訳すべきだ、と息巻いています。
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