風土記 の商品レビュー
唯一の完本『出雲国風…
唯一の完本『出雲国風土記』をはじめとして、各風土記の逸文を集めた本。一冊で全て網羅しているのが良い。
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常陸、出雲など現存五風土記のほか逸文の現代語訳集。一口に風土記と言っても、常陸・播磨が土俗的(といっても天皇に関する話はやはり多い)なのに対し、出雲・豊後・肥前は地誌書の性格が強く、列挙的であるという違いを知った。訳者によると、前者が和銅時代に編纂されたのに対し、後者は天平時代で...
常陸、出雲など現存五風土記のほか逸文の現代語訳集。一口に風土記と言っても、常陸・播磨が土俗的(といっても天皇に関する話はやはり多い)なのに対し、出雲・豊後・肥前は地誌書の性格が強く、列挙的であるという違いを知った。訳者によると、前者が和銅時代に編纂されたのに対し、後者は天平時代であり、この間の変化を決定づけたものが、遣唐使による地誌の新知見の流入とのことである。作成されていたかもしれない和銅時代の出雲国風土記を読んでみたいと思うのは、私だけではないだろう。 逸文のなかでは、天橋立や浦島伝説などを記した丹後国風土記がもっとも面白かった。
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古代史の本を読んでいると風土記に言及している個所に行き当たることがあったので、いつか読もうと買っておいた本。長いこと積読してた。 解説から読んだ方がいいと思う。和銅6(713)年に撰新の勅があったが、完成を見なかった事情がある。まとまったものが散逸したんじゃなかったのね。時期的...
古代史の本を読んでいると風土記に言及している個所に行き当たることがあったので、いつか読もうと買っておいた本。長いこと積読してた。 解説から読んだ方がいいと思う。和銅6(713)年に撰新の勅があったが、完成を見なかった事情がある。まとまったものが散逸したんじゃなかったのね。時期的に日本書紀の編纂と同時進行だったというのも以外。 以下、散文的に感想を述べる。 「常陸国風土記」 土地の名の由来が多いが、当てにならない話が多い。解説によれば大王の国見、国誉めに因ったものとのこと。たまに筑波山に集う男女の習俗や土地の豊かさを述べる読んで嬉しい文書に当たる。 「播磨国風土記」 出雲が古代に播磨まで勢力を伸ばしてという証拠に風土記が挙げられる。葦原志許呼命と天日槍命の競い合いがそれとのこと。しかし、それなら播磨の国は半島からの訪来神、天日槍命の勢力下にあったということになるし、葦原志許呼命をオオナムチと無批判に同一視するのもどうかと思う。 「出雲国風土記」 初っ端に記紀にない国引き神話が述べられている。記紀にある神話がまったく収録されていない。佐太大神の名も記紀にないが、加賀の岩窟で誕生したこの神を解説はオオナムチに比定している。出雲に行くと必ずしもオオナムチだけが偉いわけでもないので、これも違うんじゃないかなと思う。 意外なのは、アジスキタカヒコネの名が繰り返しでてくること。奈良は葛城の下鴨神社の祭神。カモ氏は遷都前に京都に移住し、アジスキキタカヒコネを忘れて、賀茂分雷大神を祀るようになる。カモ氏は出雲出身と云われることもあるけれど、個人的には信じていない。謎だらけだ。 その他、風土記逸文には丹後の浦島太郎の原型の話があった。 全体的に土地の名前の所縁や国勢調査部分が多く、物語は思ったより少なかった。
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「常陸国風土記」「播磨国風土記」「出雲国風土記」「豊後国風土記」「肥前国風土記」と、各地の風土記の断片全てを収録。69年刊の再刊。
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