迷宮 の商品レビュー
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1994年ということだから平成になって書かれた文章のはずなのに、文章も、構成も、戦前の文学のように時代がかっていて大仰。 調べてみたら作者は大正生まれの方。 そうか。 多分普段からこのような小説を書いている方なのであろう。 教養小説のように難しい思想や歴史が次々に出てきて、圧倒される。 嫌いじゃないけど、難しすぎて頭に入ってこないのが実際のところ。 引用される作家や思想家、彼らの文章が本当にあるものか、それともそれすらも創作なのかもわからず、くどいくらいに繰り返し書かれる文章が、何を意味しているのかを考え考え読んだ。 ようやっとジョージ・オーウェルが出てきて、実在の作家の、実際の文章を引用していたのかと分かった。 推理小説としてはあまりひねりはないけれど、別の意味で頭をたくさん使った読書。 教養のない自分に愕然としたけれど。
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大西巨人の文学観・死生観をこれでもかと投影した作品。 一人の断筆した作家の死を追うミステリータッチの文学(著者曰く「文学とは探求することなので、自ずと広義の意味で推理小説になる」とのこと)。 十人十色の答えがある問題に対してここまで深く踏み入ったその野心を讃えたい。 現代文...
大西巨人の文学観・死生観をこれでもかと投影した作品。 一人の断筆した作家の死を追うミステリータッチの文学(著者曰く「文学とは探求することなので、自ずと広義の意味で推理小説になる」とのこと)。 十人十色の答えがある問題に対してここまで深く踏み入ったその野心を讃えたい。 現代文学にはない熱さ。 賛否あろうが、こういうのが読みたいんだよ。 多分ここで提示されている文学観っていうのは物書きならば誰でも抱いているだろうけど、大西巨人クラスの大物でないと言えないのも事実。 死生観っていうのはもっと厄介。 創造力の維持して生き続けることの難儀さ。 個人的にはこの作品の主張に大いに賛同したい。 葬式も戒名も墓も要らない。 大西巨人といえば「神聖喜劇」なのだが、実は漫画でしか読んだことがない(その漫画もかなりの労力を要する大作だった・・・)。 現状では存命ながらあまり読まれなくなっているマイナー作家の一人だと思う。 この本も2000年に文庫化されながら今では絶版のようだ。 だが文学自体に見切りをつけているわけではないようなので、まだまだ頑張って書いて欲しい。
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『神聖喜劇』の衝撃的なおかしさはない。変な話。 お酒の量とか細かなデータが満載で、ふふふとなること間違いなし。 いや、ならない人のほうが多いか。
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