ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読 の商品レビュー
芸術関連の本を探している折、背表紙のタイトルに偶々目が留まり、図書館で借りました。現代アートを扱う仕事柄、現代における芸術の特性を解りかねていたが、本作を読むことで糸口が見えた気がしました。最初は書評のみだと思っていましたが、最終項でベンヤミン本人による文章が掲載されておりました...
芸術関連の本を探している折、背表紙のタイトルに偶々目が留まり、図書館で借りました。現代アートを扱う仕事柄、現代における芸術の特性を解りかねていたが、本作を読むことで糸口が見えた気がしました。最初は書評のみだと思っていましたが、最終項でベンヤミン本人による文章が掲載されておりました。ご本人の文章から始まっていたら、その難解さ故に私は挫折していたかもしれません。ベンヤミンご本人の文章を先に読みたい方は、後ろから読まれることをお勧めします。
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ベンヤミンのほうも併録されていることを知らなかった、まさにアウラを作品の持つ雰囲気みたいなふうに捉えていたし、受容する共同体に重きを置いて読んでいなかったので、そうなのか〜と思った、ただベンヤミンのほうを読んでよくわからないなと思っていた幾つかの部分がそのままの引用や言い換えです...
ベンヤミンのほうも併録されていることを知らなかった、まさにアウラを作品の持つ雰囲気みたいなふうに捉えていたし、受容する共同体に重きを置いて読んでいなかったので、そうなのか〜と思った、ただベンヤミンのほうを読んでよくわからないなと思っていた幾つかの部分がそのままの引用や言い換えですまされていて、(あくまでも個人的に勝手に)そこをわかりやすくときほぐしてくれることを期待していたから、そうか〜と思った
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『芸術と政治』という自分の人生のテーマに、深い洞察を与えてくれる本だった。 なぜ逆にここまで出会ってなかったんだろう。 作者のベンヤミンは、ナチスドイツの時代に生きたドイツ出身ユダヤ人で、フランスに亡命したが、フランスがナチの手に落ちるころスペインに逃げようとしてそこでもナチの...
『芸術と政治』という自分の人生のテーマに、深い洞察を与えてくれる本だった。 なぜ逆にここまで出会ってなかったんだろう。 作者のベンヤミンは、ナチスドイツの時代に生きたドイツ出身ユダヤ人で、フランスに亡命したが、フランスがナチの手に落ちるころスペインに逃げようとしてそこでもナチの手にかかりそうになり、最後には服毒自殺をした。 この時代には写真や映画の技術が栄え、本作『複製芸術時代の芸術』においてベンヤミンは、多岐にわたる考察を披露している。 複製によるアウラの凋落、芸術の礼拝的価値と展示的価値、遊戯。これらのワーディングは、非常にわかりやすい。 そして芸術の検討に普遍的な視座を与えてくれる。 その上で、私はベンヤミンが節々に述べる芸術と政治の問題を深く考えたいと思った。 例えば、ベンヤミンは映画が鑑賞者に対して考える隙を与えないといった話の中では、大衆と映画の関係の近さを示している。 たしかに、単純であればあるほど、刺激的であればある程大衆は影響を受けやすいと思う。現代のフェイクニュースの怖さなどにも通ずるところがあるなと思った。 第二次世界大戦以降最大の安全保障上の危機とも言われる今だからこそ読むべき論考だと思った。先の対戦でどのように映像やメディアが使われていたのかというところも気になる。 私見に偏らず、今後本作でベンヤミンが述べるナチスと映画の関係についてはもう少し精読して理解を深めたい。
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ベンヤミンの複製時代の芸術作品についての解説である。しかし、本文の後に、元本の翻訳もついていることから、1度で2度おいしい、という形になる。翻訳、解説付きで900円で購入できることからお買い得である。 ただし、朝日新聞に書かれていたように、ベンヤミンがメディアは複製である、とし...
ベンヤミンの複製時代の芸術作品についての解説である。しかし、本文の後に、元本の翻訳もついていることから、1度で2度おいしい、という形になる。翻訳、解説付きで900円で購入できることからお買い得である。 ただし、朝日新聞に書かれていたように、ベンヤミンがメディアは複製である、とした記述は見られなかったので、解釈であろう。
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ブックトーク選外。ちょっとわかりにくいかなとおもったし、わたし自身これを自分の考えに組みこんで扱うには力不足をかんじたのでやめた。
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1 テクストの誕生 2 芸術の凋落 3 複製技術というパラダイム 4 アウラの消える日 5 知覚と歴史 6 芸術と政治 7 映画の知覚 8 ミメーシスと遊戯空間 9 触覚の人ベンヤミン ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」(野村修訳)
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あんまり細かく見てなかった注釈のところにとても大事な記述があったとは、、、 ベンヤミンのミメーシス、面白かった でも、多木さん、現代としてこれをどう読むか、もう少し広げて欲しかった ベンヤミンの時代から特に前には進まない、まぁ、精読だから?
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古典。 「精読」部分はノーコメント。 原典はいたって普通の本で、何故ここまでありがたがられているのかよく分からなかった。 「アウラ」という手触りをそれっぽくテキトーに記したがために、学者先生とか文化気取りが論じる題材として適当だっただけではなかろうか。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
(メモ) 筆者の解説を読んだあと,後半についているベンヤミンの本文を読むと 分かりやすい. アウラの喪失=芸術作品のオリジナルが「一回限り存在する」「いま,ここに在る」ことの真正性がもたらす権威,重みが,写真や映画といった複製技術の登場により,感じられなくなってしまうこと. 多くの人は「アウラ」を芸術作品そのものに備わる性質だと認識しているが,筆者は社会的条件に注目し,受容者の「心的現象」,われわれが集団内で抱く一種の「共同幻想」ととらえている. 芸術作品は,原始の魔術的・宗教的儀式にあった「礼拝的価値」から, 複製技術時代の「展示的価値」に重心が移り,同時に伝統に支えられていた共同体に代わって大衆が中心となる. 写真は芸術作品を複製するのに対し,映画は機材やセットや俳優含めて複製技術の一部であり,ばらばらのフィルムをモンタージュする.そのためより改良可能性に富む反面,永遠の価値を断念することを意味する.
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とても面白かった。複製技術はどんどん進歩を経ているが、また我々は同じような課題に直面しているのではないか。今読んでも充分価値はある。
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