オイディプスの刃 の商品レビュー
刀と香水の呪いに苦しむ家族のものがたり。斬って斬って斬って刺して刺して貫いて刀は輝く。光に反射する。生きがいを見つける。だからこそロマンであって、恐怖ではない。それ自身に概念はなく、人間視点に意味がある。オイディプスよろしく母犯し、父殺しってやつさ。エディプスコンプレックスなんだ...
刀と香水の呪いに苦しむ家族のものがたり。斬って斬って斬って刺して刺して貫いて刀は輝く。光に反射する。生きがいを見つける。だからこそロマンであって、恐怖ではない。それ自身に概念はなく、人間視点に意味がある。オイディプスよろしく母犯し、父殺しってやつさ。エディプスコンプレックスなんだよ。フロイトなんだよ。精神分析ばんざーい。
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ある穏やかな夏の午後、大迫家で事件が起こる。ハンモックで寝ていた刀研師泰邦が妖刀「次吉」で斬り殺され、それを知った母が自殺をする。その後、罪をかぶるために割腹自殺で果てた父。残された異母兄弟三人は散り散りに。彼らが再びまみえた時に口を開く真実は、愛憎渦巻く、情念に溢れる各々の物語...
ある穏やかな夏の午後、大迫家で事件が起こる。ハンモックで寝ていた刀研師泰邦が妖刀「次吉」で斬り殺され、それを知った母が自殺をする。その後、罪をかぶるために割腹自殺で果てた父。残された異母兄弟三人は散り散りに。彼らが再びまみえた時に口を開く真実は、愛憎渦巻く、情念に溢れる各々の物語。 目眩めく酔いを誘う耽美な文章に、終始絶えること無い妖艶な雰囲気。 世界観を形造っている散りばめられたメタファー。 表題のオイディプス、個人的に著者が主軸として描きたかったのだろうと思えたこのギリシャ神話を念頭に読むとまた味わいも増すだろうかと。
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映画から入って読んだ本。だから79年版の映画が表紙の本を持っている。死装束で化粧を施した男たちの写真はなかなかの迫力です。 ラベンダーの香気を主旋律として、3人の兄弟の確執と母の恋と、根底から響くは血濡れた日本刀をめぐる男たちの悲劇……。 暗く、死がまつわる話だが、しかし裏返せ...
映画から入って読んだ本。だから79年版の映画が表紙の本を持っている。死装束で化粧を施した男たちの写真はなかなかの迫力です。 ラベンダーの香気を主旋律として、3人の兄弟の確執と母の恋と、根底から響くは血濡れた日本刀をめぐる男たちの悲劇……。 暗く、死がまつわる話だが、しかし裏返せば生きたい、いや、死にたくないという脈動があるように思える。 ただでは死にたくない。足掻いてもがきながら、心突き詰めた時を生きた話ではないかと思う。
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とにかく、大好きな作家さんです。 この方の書かれる作品の、艶。そして色。 本を開いたその瞬間から、 自分に周りに色がつくという感覚を味わえるのは この人の作品だけです。 その世界にすっかり取り込まれて、 読み終えるまで抜け出せなくなります。 とりあえずこの作品を上げたのは、 彼...
とにかく、大好きな作家さんです。 この方の書かれる作品の、艶。そして色。 本を開いたその瞬間から、 自分に周りに色がつくという感覚を味わえるのは この人の作品だけです。 その世界にすっかり取り込まれて、 読み終えるまで抜け出せなくなります。 とりあえずこの作品を上げたのは、 彼の一番有名な作品だからなんですが、 やはり有名な話だけあってとても彼らしい本だと思います。 『すこし、苦しい』 そう、呟く男。 『すこし』という言葉を選ぶところが、とても彼らしく。 こんな短い台詞が、私を虜にした、といっても過言ではないかと。 そして、『耽美』とか『幽玄』とか、 そういう言葉でくくられることが多い彼ですが、 そのストーリーの妙は下手なミステリー作家より 何倍も素晴らしい、と私は常々思っています。
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これも人生における号泣本その2。 しかしショックなことに、高校生から15年以上経って、久々に実家に帰ったときに読み返したら全く泣けませんでした。 や、だからといって全く本の価値はさがりませんが。 読み直さなくてもいい本なのかね。やー主観的感想としてさ。
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今まで読んできた中で一番衝撃を受けた小説。むせ返るような夏から始まり、凍えるような冬に終わる。読んだ後、しばらく抜けられませんでした。
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この人に影響を受けたといっても過言ではない。 ある俳優が好きでこの映画に出ると分かって読み始めたらはまりました。 耽美小説といえばこの方。
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はまると抜けられない耽美の世界。繊細でありながら残酷でもある描写に何度も切り裂かれ、蜃気楼のように、その場面の情景が浮かび上がるさまに何度も鳥肌がたった。そして、読めども読めどもつきまってくる血の匂い。謎解きやトリックの類は存在しないも同然なので、それを期待して読むと興ざめするだ...
はまると抜けられない耽美の世界。繊細でありながら残酷でもある描写に何度も切り裂かれ、蜃気楼のように、その場面の情景が浮かび上がるさまに何度も鳥肌がたった。そして、読めども読めどもつきまってくる血の匂い。謎解きやトリックの類は存在しないも同然なので、それを期待して読むと興ざめするだろう。しかし、この世界が肌に馴染むならば、ミステリ的な視点などどうでもよくなってくる。この作品そのものが「次吉」なのかと思うほど、幻想的妖美に満ちている。作者の他の作品を読む気にはなれない。本作品だけで充分だ。毎回毎回、こんなねっとりした読後の余韻に支配されるのはたまらない。
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ゾクゾクするような独特な雰囲気の作品を書かれるので大好きなのですが、なかなか古本屋でも見つからず…。絶版になってしまった本とかかなり読んでみたいです。赤江さん好き・・・・v
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