密室は眠れないパズル の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
"密室"の内側で起こった"密室"の殺人。 論理の刃は、あなたへ向けて。 ーー帯より まず、前半のミステリ談義は面白いし、クイーンの影響かは分からないが、山荘や孤島ではなく出版社という日常的な環境でクローズドサークルを作り上げたところも好印象。 そしてロジックは、論理を一つずつ丁寧に組み立てていって犯人を特定するという姿勢はとても良い。 が、今作ではそれがあまり良い方向に働いていないような気がしてならない。 密室が作られたタイミング、犯行のタイミング、犯人がその空間から抜け出したタイミングを基にしたロジックには穴がないのは確かだが、正直意外性はあまりない。 ロジックに意外性を求めること自体がナンセンスかもしれないが、少なくともトリックは予想がついてしまう。しかもこのトリックは即犯人(または共犯者)も分かってしまう代物。 岡本が殺された状況には少し無理があるように感じるし、他の人が言っていたとだが、犯人は他の人がEVを利用する可能性を考えていない。これは致命的だろう。 状況設定が面白いだけに、少し勿体なく感じる。 ただ、氷川透は初読みだが、評判通りロジックは見事。次作ではそれが良い方向に働いていることを期待。
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ー うん、つまりね。きみがフーダニットを重視するのはよくわかる。こういうことだと思うんだーフーダニットにおいては、正解は限定された可能性のなかにある。物語の結末で初登場した人物がいきなり犯人です、なんてことを禁じるならー早い話、巻頭の登場人物表のなかに犯人がいなくてはならないとい...
ー うん、つまりね。きみがフーダニットを重視するのはよくわかる。こういうことだと思うんだーフーダニットにおいては、正解は限定された可能性のなかにある。物語の結末で初登場した人物がいきなり犯人です、なんてことを禁じるならー早い話、巻頭の登場人物表のなかに犯人がいなくてはならないというルールを設定するならー、限られた選択肢のなかに唯一の正解があるってことになるよね。だから探偵の推理も論理的なものになりうる。 それに対してハウダニットのほうは、正解の可能性は、いわば無限にある。限定された選択肢のなかから正解を探すんじゃなくて、正解は無限にありうるんだ。だから、最終的に探偵が提出する解決を聞いても、ほんとうにそれが唯一の正解なんだろうか、ほかにも説明のしようがあるような気がするー読者にはそんな読後感が残る。無限の可能性のなかから一つを決定するという作業は、論理的にはおこなえないからね。 ー ミステリー作家とその編集者が遭遇する3つの密室。 ミステリー談義からの事件発生とか萌えるやつ。 挑戦状付きの模範的な作品。 面白かったなぁ〜。
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著者の文体は、やっぱり肌に合います。 なんとなく犯人はこの人かな?と気づくものの、全てを論理的に解いていく探偵の姿に魅せられます。 引き続き、著者の作品は読んでみたいと思います。
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密室状態の(?)エレベーターで発見された死体ネタ。 他の方のレビューでも指摘されているが、途中から、犯人は・・・と推理小説にある程度慣れ親しんだ人は何となく「読めて」きてしまう部分があることは確かだが、随所にちりばめられた細かな不可解な現象に対する説明が、解決編で氷川透の口から、...
密室状態の(?)エレベーターで発見された死体ネタ。 他の方のレビューでも指摘されているが、途中から、犯人は・・・と推理小説にある程度慣れ親しんだ人は何となく「読めて」きてしまう部分があることは確かだが、随所にちりばめられた細かな不可解な現象に対する説明が、解決編で氷川透の口から、全てに、論理的に、説明されているのはすばらしい。 氷川先生の書かれる文章が、私の好みにあっているのもプラスポイント。登場人物に語らせているミステリ論や、子ネタ、会話の応酬のテンポ、犯人推理のためにたたかわされる推理合戦など、読んでいて心地よい。 キャラ萌えになるつもりはないが、世間に対して斜にかまえた(というか、卑屈?)氷川透君も母性本能をくすぐります(笑)
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俺は氷川透が大好きだから何でも楽しく読めるんだけどね。これについては犯人のトリックが一発で分かってしまったのですよ。少しありきたりかなと思った。ただ、他の部分に惑わされて考えに自信がなかったのも事実だしあそこまで論理的に考えたわけでもないんだけどさ。ミステリを読んでるものにある直...
俺は氷川透が大好きだから何でも楽しく読めるんだけどね。これについては犯人のトリックが一発で分かってしまったのですよ。少しありきたりかなと思った。ただ、他の部分に惑わされて考えに自信がなかったのも事実だしあそこまで論理的に考えたわけでもないんだけどさ。ミステリを読んでるものにある直感かな、ただ相変わらずの倒錯した展開とか緻密すぎるほどの論理とかはとても楽しめた。
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