日本軍の小失敗の研究 の商品レビュー
日本軍の失敗とその原因を分析した『失敗の本質』(中公文庫)よりも、小さな局面で、太平洋戦争敗北の原因を分析する(ただし、物量差は本書において考慮しない)。 アメリカとの戦争は、物量上勝てる見込みがなかったのは、当時のデータ上自明であった。そのため、本書はそれ以外の要因に注目す...
日本軍の失敗とその原因を分析した『失敗の本質』(中公文庫)よりも、小さな局面で、太平洋戦争敗北の原因を分析する(ただし、物量差は本書において考慮しない)。 アメリカとの戦争は、物量上勝てる見込みがなかったのは、当時のデータ上自明であった。そのため、本書はそれ以外の要因に注目することで、今後、同じ過ちを犯さないように仕向けるのが主な趣旨である。先に結論を述べると、日本軍は、あらゆる面でインフラ整備があまりにも脆弱であった。この一言に尽きる。 具体的に見ていくと、まず、日本は補給に対する意識があまりにも希薄であった。武器や弾薬はさすがに輸送した。ところが、それ以外、たとえば食糧や薬品などは、現地調達で賄ったのである。 第2次世界大戦においては、航空機が勝敗を決した。日本も航空機の必要性は自覚していたが、航空機を飛ばすのに必要である飛行場を生産工場の近くに設置していなかった。そのため、完成した航空機を運ぶためにわざわざ分解して、その部品を牛車で運搬するという、あまりにも非効率な手段を取った。 その他、日米それぞれのマニュアルを比較し、日本のマニュアルの文章が難解である一方で、アメリカはマンガ入りでわかりやすい文章でかつ正確な情報を得られる構造となっている。 このように、単に物量差で判断するのではなく、細かい点で、日本の敗北は必至だと理解できる。
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なぜ読んだか: 上司からの推薦。そして以前読んだ同系の本、「失敗の本質」がとても面白かったので興味もありました。 なにを得たかったか: 旧軍の失敗から技術・組織運用でやってはいけないことを学びたいと思いました。 どのように活かすか: 地味な仕事(補給、生産の標準化、情報分析、O...
なぜ読んだか: 上司からの推薦。そして以前読んだ同系の本、「失敗の本質」がとても面白かったので興味もありました。 なにを得たかったか: 旧軍の失敗から技術・組織運用でやってはいけないことを学びたいと思いました。 どのように活かすか: 地味な仕事(補給、生産の標準化、情報分析、Operations Reserchなど)が戦力の維持には必要とのことから、どんな仕事でも基本的なことは着実にこなしていく必要があると感じました。また、主戦力の増強や発想の多様化などのためには、女性や部外者(民間人)の活用が必要であると感じました。
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ビジネスは戦争だ。従って、すべてのビジネスマン必読の書です。簡明な文章でとても読みやすい。日本人の悪しき特性は、100年や200年では変わらない。次にまた負けないためには過去の戦争に学ぶしかあるまい。
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日本軍という巨大組織の失敗の本質。 2004/09/05 帯には、太平洋戦争文化人類学というフレーズが付いています。同じ日本軍とは言っても、陸軍と海軍では体制も考え方も全く違っており、それは武器や戦術にも現れていました。中国やアメリカと戦いながらも、お互いがライバルであって競争意...
日本軍という巨大組織の失敗の本質。 2004/09/05 帯には、太平洋戦争文化人類学というフレーズが付いています。同じ日本軍とは言っても、陸軍と海軍では体制も考え方も全く違っており、それは武器や戦術にも現れていました。中国やアメリカと戦いながらも、お互いがライバルであって競争意識もあり、例えば海軍が空母を作ると、陸軍も同じように空母や潜水艦を作るほどだったようです。当然のことながら、両者が造る兵器は独自のものとなり、海軍のものは陸軍で使えない。逆も同じという有様です。双方が歩み寄って基準を決める「標準化」という考え方もなく、多種多様な兵器を作ることになり、それが現場での使いにくさに繋がってしまいました。 日本軍の戦略的な失敗は、多くの専門家が研究し、本も出ていますが、この本では主に「兵器開発思想」の観点から日本軍を分析しています。 最近、失敗学の研究が盛んに行われていますが、日本軍研究は現代に生かせる教訓として格好の題材だと思います。
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