半眼訥訥 の商品レビュー
1993年から1999年の間、毎日、読売、日経、北海道新聞、文芸雑誌に掲載されたエッセイと、直木賞受賞記念の付録である自伝もどき、そして文化サロンでの講演などをまとめた本。一冊まるごと髙村薫です。 評論家や学者ではないから、市井の一生活者としてその時々の思いを書いて来た「雑文」...
1993年から1999年の間、毎日、読売、日経、北海道新聞、文芸雑誌に掲載されたエッセイと、直木賞受賞記念の付録である自伝もどき、そして文化サロンでの講演などをまとめた本。一冊まるごと髙村薫です。 評論家や学者ではないから、市井の一生活者としてその時々の思いを書いて来た「雑文」であるといい、だからこそ時の移り変わりと共に色あせてくる「消耗品」だし、本にするつもりもなかったという。 確かに、20数年前に書かれたものなので時代背景は古い感じはするものの、20年経った今でも髙村さんが当時憂慮していたことは、状況が悪くなったことはあれ良くなったことは一つもない。 ビシビシと心に響く言葉の数々だけど、デビューしてからまだ4~8年頃のエッセイだけにまだまだ髙村さんの怒りも控えめで優しく感じる(今はこんなもんじゃないけど・・・)。 面白かったのは、作品を文庫化するときの思い。だから文庫化するとき別の作品のようになるんだな~と納得。そして、未だに文庫にならない作品は文庫化拒否してるのか・・・。 自伝もどきにあった子供の頃の記憶、 ――学校は地獄。勉強は不毛。ピアノは苦痛。友だちなし。やりたいことなし。ひとり深い藪の中でスミレの紫に見入って、何を考えたのかはおぼえていない―― 少女薫、抱きしめてあげたいわ~
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「はんがんとつとつ」と読む。 新聞、雑誌に連載したエッセイをまとめた本。題材は家族、こども、大阪、職業など身近なこと。エッセイだし、著者の著作にしては軽く読める。 いちいち、納得するのだ。たとえば、こどもはたいてい「頼んで生まれてきたわけじゃない」などと一度くらいは思うものだが、こんなことを言ったこどもの心理と言わせたおとなの行動を明確にする。おとなはどうすればよいのかな、と考えさせられる。一億総モラトリアム、今に始まったことではない? 一人称は「わたくし」、日本語も丁寧だし、頭よさげでいろいろと丁寧に考えていそうだけど、それでもイヤミではない。 著者は大阪生まれの大阪育ちだが、大阪弁しゃべれないらしい。
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「わたくし」。第一人称をこの言葉を一貫使って綴られた文章は初めてだ。俗からの距離を慎重に置きながら、権威が持つ高慢を注意深く自ら戒めた結果としての深慮の策であったろうことは、文章や論旨の頑固とも言える真摯さから伺える。それこそ人の事で大きなお世話であるが、この人は何が楽しいのだろ...
「わたくし」。第一人称をこの言葉を一貫使って綴られた文章は初めてだ。俗からの距離を慎重に置きながら、権威が持つ高慢を注意深く自ら戒めた結果としての深慮の策であったろうことは、文章や論旨の頑固とも言える真摯さから伺える。それこそ人の事で大きなお世話であるが、この人は何が楽しいのだろう。およそ俗っぽい欲望を、外側として論じこそはすれ決して内からの事象としては語らない。照れているのか、かっこつけているのか。しかしその徹底したストイックは、一冊を通して読了した後、そもそも存在していなかった事に気づかせられる。この文章量の、どこにもそんなモノは嗅ぎ取れない。これはすごい事だ。
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特に思い入れなくあれほどハードな長編を書いたのかとびっくりした。 今の大学生と高村作品の大学生を比較するのは酷だと思ったけど。
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何にも興味がないというその事実が、わたくしに小説を書かせていることもまた確かなのである。 物心ついたときから、自分自身は何にも加担することなく、ひたすら眺めるだけだった人間にとって、 何にも執着がない自分自身もまた観察の対象である もし、高村小説を有る程度読んでるのだったら、...
何にも興味がないというその事実が、わたくしに小説を書かせていることもまた確かなのである。 物心ついたときから、自分自身は何にも加担することなく、ひたすら眺めるだけだった人間にとって、 何にも執着がない自分自身もまた観察の対象である もし、高村小説を有る程度読んでるのだったら、この本を一度読んでみることをお勧めする。 一遍は見開きちょっとで雑誌や新聞に寄せたコラムのようなものだと思って良いと思う。 そこには。小説を書くに当たっての高村さんの半生や考えていたこと、それを書いた時に思っていたこと。 もっと端的に、この小説ではコレが書きたかったんだと、言及されているものもある。 合田雄一郎の幼少期は高村さんの幼少期そのものであり、 彼の目に映ったものは高村さんの見たものらしい。 もう一度作品について考える機会を与えてくれる1冊でした。
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"高村薫が新聞、雑誌に書いてきた本人言うところの雑文。共感する部分もあるが微妙な部分もある。作者が4人の家族の介護と最期を看取るに当たり「肉親の介護は天使の仕事ではない」と考え在宅介護の整備を必要と考える。と言う部分がある。この人が本当に女性だなと感じ、共感した部分。現...
"高村薫が新聞、雑誌に書いてきた本人言うところの雑文。共感する部分もあるが微妙な部分もある。作者が4人の家族の介護と最期を看取るに当たり「肉親の介護は天使の仕事ではない」と考え在宅介護の整備を必要と考える。と言う部分がある。この人が本当に女性だなと感じ、共感した部分。現代の子どもを取り巻く状況を書いた部分には、残念だが机上の理論と言う気がする。新聞に書いた文章のせいもあるのだろうが硬さがとてもある。2006・2・11
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最近読んだ高村薫の随筆。ああーとおもうところもやっぱふるいなーとおもっちゃうところも。でも読んでよかった。
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