空白の沖縄社会史 の商品レビュー
エスノグラフィーガイドブックより 与那国島の久部良地域を中心とした密貿易史について、当時の沖縄人や台湾人などの証言を元に構成されている。 平成生まれの私にとって、沖縄は琉球王国という独自の歴史や、米国の占領下にあった歴史を持ちながらも同じ日本だという考え方が普通と思っていたが、沖...
エスノグラフィーガイドブックより 与那国島の久部良地域を中心とした密貿易史について、当時の沖縄人や台湾人などの証言を元に構成されている。 平成生まれの私にとって、沖縄は琉球王国という独自の歴史や、米国の占領下にあった歴史を持ちながらも同じ日本だという考え方が普通と思っていたが、沖縄人と表記され台湾との密接な繋がりを持っていた沖縄人は日本の本土の人とはやっぱり違う文化を持っている。 戦後日本では闇市が繰り広げられていた事は知っていたが、沖縄でこの密貿易が経済を支えていた事は全く知らなかったため、とても新鮮な情報であった。本書の始まりに記載されているが、「与那国のニワトリは、庭先に落ちている米粒などはついばなかった」(台湾から沢山の米や砂糖などが密貿易で持ち込まれたが、放し飼いされているニワトリは地面に落ちている米粒を食べるのではなく、山積みにされている米袋をつついていたということ)当時の貧しい時代の中でこのエピソードは密貿易史をよく表していることがわかる。 また、はじめて知ったのがB円という軍票があった事。日本軍が占領していたアジアで食料をもらう代わりに軍票を渡していた事は聞いた事があるが、沖縄にも軍票が使われていたとは!そして、B円ってなんかおもしろい!それに台湾紙幣の流通もあり、当時の写真も掲載されている。こんな事があったんだと、どの章を読んでも知らなかったことばかりで面白かった。
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目次 序章 国境の島・どなんぬちま 第1章 戦前の与那国島 台湾経済圏内の与郡国島 第2章 与那国島・密貿易中継基地 1.与郡国-台湾間の密貿易の胚胎 2.国際的闇市の実態 3.密貿易と行政当局 4.密貿易社会の教員 第3章 台湾人と沖縄人 1.台湾と沖...
目次 序章 国境の島・どなんぬちま 第1章 戦前の与那国島 台湾経済圏内の与郡国島 第2章 与那国島・密貿易中継基地 1.与郡国-台湾間の密貿易の胚胎 2.国際的闇市の実態 3.密貿易と行政当局 4.密貿易社会の教員 第3章 台湾人と沖縄人 1.台湾と沖縄の歴史的関係 2.日本統治下の台湾人 3.台湾の運命 4.終戦前後の台湾体験 5.密貿易胚胎期の台湾 6.二・二八事件と沖縄密貿易人 第4章 台湾人の密貿易と台湾脱出 1.二・二八事件以前の密貿易 2.台湾脱出と密貿易 第5章 戦果と密貿易の時代の米軍占領行政――タテマエの社会 1.統制経済下の沖縄 2.自由経済下の沖縄 第6章 宮古島の密貿易 1.庶民の密貿易 2.教育界に貢献した密貿易 3.歯科医師の密貿易遍歴 4.日本国憲法を運んだ密貿易船 5.公用船の密貿易 第7章 バーターのはじまり 1.那覇軍港での闇取引 2.米軍測量船に乗った沖縄人 3.那覇軍港内でのバーターの一形態 第8章 戦果=民衆の「戦闘」 1.戦果アギヤー 2.国府軍兵士とのバーター 第9章 香港ルートの密貿易 1.概説 2.国府軍の軍艦にされた密貿易船 3.中国大陸に抑留された密貿易人 4.香港ルートの密貿易の実態 第10章 女牲と密貿易 糸満女性の密貿易 第11章日本の密貿易船 本土から出た密貿易船 第12章 本土・口之島ルートの密貿易 1.歴史の舞台に浮上した口之島 2.本土・口之島ルートの密貿易の実態 第13章 海賊の跳梁 1.現代の海賊 2.「ヌルガン沖の海賊船」 3.危機脱出の中国人 第14章 遭難・爆発事故 1.「香港行きぎり」 2.爆発事故 3.たたかいすんで 4.「板子一枚下」での漁師生活 第15章 米軍・沖縄警察と密貿易 1.密貿易社会の沖縄警察 2.米軍の密貿易取締り 3.取締り第一線刑事の座談会 4.アメリカ議会で問題化した沖縄の密貿易 終章 密貿易社会の崩壊――むすび 資料1 一九四五~五二年・密貿易三大ルートの密貿易品 資料2 一九四五~五二年の沖縄・台湾・日本略年表
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