なぜ悪いことをしてはいけないのか の商品レビュー
昭和堂の「叢書エチカ」シリーズの一冊として刊行された『道徳の理由―Why be moral?』の続編で、大庭健、安彦一恵、永井均が前作につづいて議論を戦わせています。 まずは長い、大庭、安彦、永井の三者の論文が置かれ、つづいて「コメント」として新たに5人の執筆者がくわわってそれ...
昭和堂の「叢書エチカ」シリーズの一冊として刊行された『道徳の理由―Why be moral?』の続編で、大庭健、安彦一恵、永井均が前作につづいて議論を戦わせています。 まずは長い、大庭、安彦、永井の三者の論文が置かれ、つづいて「コメント」として新たに5人の執筆者がくわわってそれぞれ批評をおこなっています。最後にもう一度、大庭、安彦、永井の「リプライ」論文が収録されています。 永井は、彼の主張する独在論の立場からの道徳批判を繰り返しており、「コメント」や「リプライ」においても他の論者たちの無理解に投げやりなところが見られます。大庭は、システム論的な独自の倫理学の観点から「なぜ道徳的でなければならないのか」という問題にこたえようと試みていますが、永井が「コメント」論文で述べているように、そこで仮想的としてやや戯画的な仕方で登場させられている「無道徳論」と「合理的道徳論」の立場が極端に矮小化されてしまっており、あいかわらず議論はかみ合わないままという印象があります。本書の企画にもっとも前向きだったとされる安彦は、単なるファシリテーターの立場にとどまることなく、ヘアの『道徳的に考えること』を援用しながら、大庭、永井の対立を調停しうるような独自の倫理学的地平をえがき出そうとしています。 三者の対立の溝が埋まらないであろうことは想定していましたが、まったくぶれることなくみずからの立場を語る永井に対して、大庭はなんとかして反撃をくわえようと、これまでとは異なるスタンスで議論をおこなおうとしていることがうかがえます。ただ、その議論がこれまでの大庭の議論とのつながりに、すこし理解しづらいところがあるように感じました。
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評価が難しい。個人的には「道徳哲学としての倫理学」をしているのが安彦・永井両氏、「道徳主義的な倫理学」をしているのが大庭氏、といったところである。自分としては前者としての倫理学書であることを期待して読んだのだが、コメンテーター含め各人の議論が錯綜し問題の先鋭化が不十分な印象である...
評価が難しい。個人的には「道徳哲学としての倫理学」をしているのが安彦・永井両氏、「道徳主義的な倫理学」をしているのが大庭氏、といったところである。自分としては前者としての倫理学書であることを期待して読んだのだが、コメンテーター含め各人の議論が錯綜し問題の先鋭化が不十分な印象である。正直読んで得るものは多くなかった。 自分が永井の意見に共鳴する部分があるので、あとはそこからさらに問題を「抉り出す」ことを続けるのみである。
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道徳に関する議論。ただし読みにくい。 冒頭で3者によるそれぞれの意見が展開され,残りのページでそれぞれの意見に対するコメントをお互いに書いて構成されている。 哲学系の本ではこういう感じなのかわからないが,全体的に読みにくかった。箇条書きがなく内容がわかりにくい。論点がわかりにくい...
道徳に関する議論。ただし読みにくい。 冒頭で3者によるそれぞれの意見が展開され,残りのページでそれぞれの意見に対するコメントをお互いに書いて構成されている。 哲学系の本ではこういう感じなのかわからないが,全体的に読みにくかった。箇条書きがなく内容がわかりにくい。論点がわかりにくい。同じような内容を表現を変えて繰り返して論じており,冗長と感じた。 いくつか新しい考え方をしれてよかった。ある程度事前知識があったほうが読みやすいかなと思った。
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この題目について考えたことのある人は多いのではないだろうか。 それについて複数人の意見を一度に聞ける。 誰かの意見に共感できるのではないだろうか。
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