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フェミニズムのパラドックス の商品レビュー

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2018/01/12

大きく変わりつつあるフェミニズムの歴史を踏まえつつ、アクチュアルな問題にも切り込んだ著者の論考を収録しています。 著者は、「ジェンダー」という概念のたどった歴史を簡単にたどり、「フェミニズム」から「ジェンダー学」へと理論的な深化がなされつつある状況を解説しています。また、草創期...

大きく変わりつつあるフェミニズムの歴史を踏まえつつ、アクチュアルな問題にも切り込んだ著者の論考を収録しています。 著者は、「ジェンダー」という概念のたどった歴史を簡単にたどり、「フェミニズム」から「ジェンダー学」へと理論的な深化がなされつつある状況を解説しています。また、草創期から現代にいたるまでの日本のフェミニズムのあゆみをたどり、とりわけ「日本」という特殊性と「近代」という普遍性とのねじれた関係のなかに日本のフェミニズムが置かれてきたことについて、比較的くわしい分析がなされています。 「フェミニズムから見た丸山眞男の近代」は、こうした観点から丸山の近代化論が今なお有効性をうしなわない日本の学問的状況について考察しています。また「自己定義権と自己決定権」と題された論考では、ドロシー・スミスとキャロル・ギリガンの問題提起を著者自身の立場から受け止め、「近代」と「フェミニズム」とのねじれた関係を解きほぐそうとする試みがなされており、非常に啓発的な議論だと感じました。 そのほか、セクシュアル・ハラスメント、とりわけ学問研究の現場である大学で起こる「アカハラ」の問題について論じた論考などが収録されています。

Posted byブクログ