縄文の生活誌 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
本書は、いわゆる旧石器遺跡捏造事件が発覚する前に刊行されたものである。つまり、捏造された石器を真実のものと看做して叙述されている。 当然だが、事件発覚後は、本書は回収・絶版となり、さらに改訂版が発刊された。 その意味で、本書の内容になんらの価値を見出すことはできないが、これらの過程を記録したものとして有益と考え、古書店で購入した。 そもそも、他の学者の発表について、「捏造はないであろう」という性善説に立つこと自体は否定しないし、問題はないと思う。 しかしながら、捏造に基づき発表された結論を見るにつけ、古人類学との余りの齟齬にいくらなんでもという印象は拭い去れない。 すなわち、ネアンデルタール人の絶滅が3万年前。ホモサピエンスの誕生が10万年前とされる。多少のブレならともかく、それより遥かに前の時代の遺跡となれば、古人類学との整合性を徹底させる必要がある。 古人類学の石器検証を緻密にしていれば、○○氏の暴走は防ぎえたのではないか。そういう意味で、ややお粗末すぎる感は残った。
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