1,800円以上の注文で送料無料

塚本邦雄全集(第4巻) の商品レビュー

4

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    1

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2012/01/09

【注】歌集『睡唱群島』(1976年/季刊・銀花刊)を読了。図書データが存在しないため、同歌集を所収する全集に感想を記入した。引用元ページも歌集によった。 歌集『睡唱群島』は、未発表作品100首を収録し、500部が限定刊行された。標題紙前葉に自筆署名入。 B6版。装丁は政田岑生。...

【注】歌集『睡唱群島』(1976年/季刊・銀花刊)を読了。図書データが存在しないため、同歌集を所収する全集に感想を記入した。引用元ページも歌集によった。 歌集『睡唱群島』は、未発表作品100首を収録し、500部が限定刊行された。標題紙前葉に自筆署名入。 B6版。装丁は政田岑生。青を基調とした造本で、浅縹色の組紐文様の枠が刷られた頁に、1首ずつ歌が配されている。 冒頭に「見ぬ世はや…」の1首を置き、「星夜唱」「花朝唱」「月夕唱」の3部構成をとる。 随筆、小説につづき、ようやく著者の本領である短歌にふれた。その多くは想像上の景を読んだ歌であるが、艶めかしくも幽玄なイメージを喚起させる。俳句や短歌を敬遠している私だが、非常に感銘を受けた。 ほとんどの歌に花が読み込まれているのが特徴であり、花の香や佇まいが歌に命を吹き込み、観念的な美を与えるかのようだ。花のほかに「父」も多く登場する。具体的な父ではなく、男性性の完成形であり且衰弱を待つ存在とでもいうような印象を受けた。 いつもながら著者の作品集は装丁に趣向が凝らされており、視覚的にも楽しませてくれる。

Posted byブクログ