イルカの歌 の商品レビュー
イルカ小説。浦賀和宏『姫君よ、殺戮の海を渡れ』を思い出してしまうが、ようやく普通に人に勧められるイルカ小説に出会った。 感動ものかと思ったら、意外とサラッと終わった印象。 決して強く心を震わす物語ではないが、感じ取れるものはたくさんありそう。 ミラのように純粋でありたい。
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幼い頃海で遭難し、イルカに育てられた少女ミラの物語。保護され研究と教育にさらされながら、自らの存在を問うていく。 ミラの視点(手記)で書かれているため、人の言葉を取得して人の知識を得ていく過程が表されています。新しいことを覚えるのが面白く他人と触れ合うのが楽しいミラはどんどん「人...
幼い頃海で遭難し、イルカに育てられた少女ミラの物語。保護され研究と教育にさらされながら、自らの存在を問うていく。 ミラの視点(手記)で書かれているため、人の言葉を取得して人の知識を得ていく過程が表されています。新しいことを覚えるのが面白く他人と触れ合うのが楽しいミラはどんどん「人」になっていくのですが、どこかで自分は他人と違うということも認識しています。 言語化されないイルカの言葉を歌にたとえて、音楽を得ていくのも面白いです。元々言語に頼らないコミュニケーションをしていたので、相手が発する言葉以外の感情を読み取れる部分と、人として言葉を得て言葉で認識する部分の対比も見て取れます。 ミラに接する人々も、ミラを単に研究対象として見るのでなく、ミラ自身と関わりを持とうとしているのが素敵です。 人とは何か。人とイルカの違いは何か。ミラの自問は、自分は一体何なのかという全ての人が持つ疑問に通じます。
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※このレビューにはネタバレを含みます
「アルジャーノンに花束を」と似た感じの構成です。 イルカに育てられた野生児が保護され、人間の研究施設で育てられ学ぶ喜びを知るが、次第に隔離された環境が辛くなり・・・というお話です。 同時期に山で保護された子は警戒心が強く内向きで、全く人間の生活に馴染みませんでしたから、主人公の少女の明るさはイルカの陽気さを投影していると言うことなのでしょうね。 学ぶ喜び、遊ぶ喜び、愛する喜び・・・これらを感じる心を持っているのはイルカもそれを持っているから。 そんなイルカを育てた海は、音に満ちている。音楽で溢れている・・・素晴らしい世界! ロマンチックでファンタスティックなお話☆
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私自身がイルカが好きで、手に取った作品。 人間の世界にもがきながらも、必死で相手を喜ばせようとする姿に胸を打たれた。最後はあんなだったけど、無理に窮屈な世界に留まるよりもいい結末だったんじゃないかと思う。何にも侵されないミラの透きとおった考え方が好き。
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