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私は私でありたい の商品レビュー

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2021/10/26
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※このレビューにはネタバレを含みます

以下、思い出話が大半です。 中学で一匹オオカミ状態だった頃、廊下や中庭で時々声をかけてくる1つ下の後輩がいました。 ある時その子は大きな目をクルクルさせながら、その頃に学校全体で作った文集の私の文が面白かったと笑顔で話しかけてきて、後輩に突然褒められる気恥ずかしさもあって「あんな文集ちゃんと読んでる人いないよ」と思わず返したことを覚えています。 それから約三十年。 なぜかふと「そういえばあの子はどうしてるのかな」と思い出して興味本位で名前を検索したところ、この本をみつけ、同時に彼女が早逝していたことを知りました。 本を読むことで彼女を偲びたい気持ちが生まれて中古で入手したものの、ページをめくるごとに鮮烈で時にグサリとくる言葉が容赦なく飛び込んできて、たびたび気圧されるような感覚に陥って読み進めるのに時間がかかりました。 「思春期の頃の心の揺れや苛立ちをこんなにも詳らかに言葉にのせられるものなのか」 これが一年以上かかってようやく最後まで読み終えた私の感想です。 生々しさと凛とした空気をまとった言葉が連なり、むき出しの若者の心の内を少し離れたところから畏怖の念を抱きながら覗かせてもらっているような感覚でした。 紡がれた言葉に嘘がなければ四半世紀経とうとそれ以上経とうと何も色褪せない。 繊細な心の内を綴っているのにとてつもない力強さに溢れている、私はそう感じました。

Posted byブクログ