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住宅という場所で の商品レビュー

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2015/04/10

(*01) 2000年の宮脇檀関連の展覧時に行なわれたシンポジウムやレクチャーが収録されている。それを15年後に読むという事で、いささか古びているのではと本書を読む前には予想していたが、そうでもなかった。震災や縮退という現代都市の局面に適応した住宅もあるだろうが、それ以前に近代住...

(*01) 2000年の宮脇檀関連の展覧時に行なわれたシンポジウムやレクチャーが収録されている。それを15年後に読むという事で、いささか古びているのではと本書を読む前には予想していたが、そうでもなかった。震災や縮退という現代都市の局面に適応した住宅もあるだろうが、それ以前に近代住宅(*02)の問題は凡そ出揃っていたものと思われる。 ただ、この企画編集の方針が既定であるので致し方ないが、作家住宅とその作家性が本書が問うている住宅であって、工業製品としての住宅、ハウスメーカーがなすメインストリームとしての住宅に対する史的な分析が大きく欠けていた事で、住宅という場所の半分も論じられていないという感は否めない。戦後の最小限住宅には増殖の予感があったし、モダンリビングの劣化版あるいは普及版としてのメーカー住宅、またその集合と住まい方生きられ方は、もっと論じられてよいところだろう。 (*02) モダニズムとしての住宅は、本書に取り上げられている海外の著名な住宅に現われており、その幸福と不幸も語られている。なぜ海外の住宅の場所が、日本の場所では通用しないのか、これは風土や心性の問題でもあるが、日本の集住と散居という住宅受容のコンテクストについてもまだまだ指摘すべき事は多いだろう。

Posted byブクログ