唯識の読み方 の商品レビュー
これはすごい、600P弱のボリュームだけど唯識論の手引きとして申し分ない内容です。 著者の謙虚さが随所に滲み出ている文章で、それでいて平易なレベルまで唯識論を嚙み砕いて説いてくれているその奥深さに脱帽です。時折紹介されるエピソードも人間味があり箸休め的な役割と著者への親近感が増...
これはすごい、600P弱のボリュームだけど唯識論の手引きとして申し分ない内容です。 著者の謙虚さが随所に滲み出ている文章で、それでいて平易なレベルまで唯識論を嚙み砕いて説いてくれているその奥深さに脱帽です。時折紹介されるエピソードも人間味があり箸休め的な役割と著者への親近感が増す良い塩梅。 理解することが唯識の目的ではないが、唯識感に乗っ取った自己および世界の捉え方は非常に心が救われる点が多いと個人的な感想。そうか、この浅ましく煩悩に支配されている自分は深層意識の末那識が発動しているのだな、唯識はそういった人間の本性を一旦は認めてくれる立場なのだと。また、今の自分が感じているこの負の感情は煩悩の区分に照らし合わせるとこれに当たるのかなー、仏陀の時代から人は悩んでいる本質的なものなんだと腑に落ちたりできるのではないかと以後期待してます。 本書の好ましい点として、他の唯識論関係だとさすがに煩悩一つ一つに対して詳しい説明をしてくれてなかったが、こちらは個別個別に解説をしてくれてる。八識の概略のみの学習で終わってたところがあったので、楽しかったな。その後の五位の修行のところまで突き詰めてくれていて、こちらはほぼ初見だったので新たな世界へと踏み込んでしまいました。 いやー、月並みですが奥が深い。いろいろな著作を読むごとにテーマは同じなのに新しい発見がある。
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