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海戦 の商品レビュー

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2016/08/18

夏は第2次世界大戦ごろのことが書かれた作品を読む。これまで読んだものは大戦後に書かれたものばかりだったが、今年は戦時中に書かれ発表された作品。当時作家だった著者が報道班員として戦艦に同乗し、内地でなく戦地で見聞き体験した様子を記したもの。軍人と民間人の違いを、日本が真面目に狂って...

夏は第2次世界大戦ごろのことが書かれた作品を読む。これまで読んだものは大戦後に書かれたものばかりだったが、今年は戦時中に書かれ発表された作品。当時作家だった著者が報道班員として戦艦に同乗し、内地でなく戦地で見聞き体験した様子を記したもの。軍人と民間人の違いを、日本が真面目に狂っていたことを、日本の純粋さを感じられる。そういえば藤田嗣治も従軍画家だったことを思い出した。

Posted byブクログ

2015/02/24

従軍作家が見た戦争。 筆者は、真珠湾攻撃以来の大勝利ともされる第一次ソロモン海戦における日本艦隊旗艦「鳥海」に乗艦。 日常と非日常。非日常の中にも存在する日常とその断絶。海戦へ向かう船の上での筆者の、高揚するでもなく、悲嘆するでもない微妙な感情。書斎で思い描いていた死のイメージと...

従軍作家が見た戦争。 筆者は、真珠湾攻撃以来の大勝利ともされる第一次ソロモン海戦における日本艦隊旗艦「鳥海」に乗艦。 日常と非日常。非日常の中にも存在する日常とその断絶。海戦へ向かう船の上での筆者の、高揚するでもなく、悲嘆するでもない微妙な感情。書斎で思い描いていた死のイメージと、戦場に身をおいて感じる「死」が、あまりにかけ離れていることへの戸惑い。士官室で接するうちに垣間見た海軍将校たちの軍人としての精神性。機銃や砲弾が放たれ炸裂する大音響と、闇夜を引き裂く探照灯や爆発、火災、曳光弾の色とりどりの光で彩られる夜戦のある種美しいまでの光景。平和な今を生きる私たちが想像するのとは違った、当事者の語る戦争の一面。 夜戦が始まる前までは意識はしつつも頑なに見ようとしなかった家族の写真を、戦闘が終わり帰還するときに初めて取り出して眺め、家族の名前を呟いたというのが、印象に残った。 筆者は、戦闘が始まるまで死の実感を感じられずにいたし、筆者が接する軍人も、戦闘開始の直前まで、淡々と普段通り話をし、普段のように眠る。死を身近にする人の心情や感情の発露って、感動的な映画のように大袈裟に覚悟を語ったり、興奮したり、悲嘆したりというのではなくて、案外こんなものなのかもしれない。 日本軍の圧倒的勝利の戦いを舞台に、軍人たちの頼もしさや戦闘の華々しさを描いている一方で、その中で失われた命、身近にある死も描いている。読後に残るのは勝利の高揚感と、喪失と断絶の悲哀という相反する感情。それらのないまぜになった混沌こそ戦争なのだろう。 同時収録に、大戦中の帝国海軍の一大拠点であったラバウルの様子を描いたものが2本。南洋の原色の美しい自然と、素朴な島民たちの生活、日本統治下の町の様子が記されている。島民たちの文化を美しいとしながらも一段低く見ていたり、帝国海軍の洗練された風紀が、西洋の野蛮な支配からようやく脱した、素晴らしいが遅れたこの南洋文化を教化するのだという宣教師的思想が見て取れることなど、現代の読者からすると違和感のある部分もあるが、全般は日本統治下のラバウル市街の様子や島民についての上質な紀行文であり、その様々な素晴らしい描写には、帝国統治下の南洋に対するある種の後ろめたい憧れを微かに感じてしまう。

Posted byブクログ

2012/04/08

従軍ジャーナリストの方が参加した、 太平洋戦争中に行われた中の、日本が勝利したある海戦の記録。 太平洋戦争の話を読んで、悲しい気持ちになろうとしている人には お勧めしません。 血湧き肉踊るという感じです。 アメリカの船が沈んでいくところで、「わぁい」と腕を振り上げたくなります。...

従軍ジャーナリストの方が参加した、 太平洋戦争中に行われた中の、日本が勝利したある海戦の記録。 太平洋戦争の話を読んで、悲しい気持ちになろうとしている人には お勧めしません。 血湧き肉踊るという感じです。 アメリカの船が沈んでいくところで、「わぁい」と腕を振り上げたくなります。 悲惨なばかりでなく、大勢の参加できるお祭りとしての戦争。 周囲との一体感。開放感。圧倒的勝利。 『意思の勝利』というナチスの記録映画を見たときも思ったけれど、 こんな雰囲気が作られたら、世間や歴史の流れは戦争を選ぶと思う。 その背後に、どれだけ悲惨なことが起こるかを知っていても。 戦争についての勉強って、悲しくなるものばかりでなくて、 こうゆう素晴らしい高揚感があったから大勢が参加したんだよ、という 知識も必要だと思う。

Posted byブクログ