幻想の地誌学 の商品レビュー
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世界中にまだ「未発見」の地が無数にあり、旅行ではなく冒険が存在していた時代の文学・旅行誌における地誌。作者は事実・現実の情報に縛られずに想像力を自由に遊ばせることが許されていた時代。現代と違って地表に余白があり、高度で難解な象徴作用を駆使して現実世界を多重構造で捉え直す必要もなく、物理的に実在する世界として舞台構造を自由に作ることが許されていた。この本で最初に取り上げられる「島」はその最たるもので、信じられないほど奇妙で物珍しい事物があり、人々が暮らす場として、しかもしばしばそれは妄想ではなく事実としてヨーロッパに紹介された。また島はユートピア文学の格好の舞台として使われ、ギリシア・ローマ以来の「円のドグマ」思想を反映し、島の地図が描かれることもあった。大航海時代から時代を下り、技術が進歩するにつれ、地下、海中、月が妄想の対象になる。
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幻想の島へ 幾何学的な子宮 プロスぺローの魔島 月―空に浮かぶ島 海という装置 地底の旅 隠喩としての砂漠 密林の美女 人体地図の系譜 二枚の地図 参考文献 参考図版出典 あとがき 文庫版あとがき 解説 索引 (目次より)
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