橋上幻像 の商品レビュー
「Y字型の橋の中央にいる人物」という演劇的な仕掛けを導入して、人間のPointless(あてどない)存在感を描く。 そのために選ばれたエピソードは3つ。太平洋戦争中におきたニューギニアでの人肉食、少女時代に体験したユダヤ人虐殺、アメリカ人に育てられた朝鮮人孤児のアイデンティティ。...
「Y字型の橋の中央にいる人物」という演劇的な仕掛けを導入して、人間のPointless(あてどない)存在感を描く。 そのために選ばれたエピソードは3つ。太平洋戦争中におきたニューギニアでの人肉食、少女時代に体験したユダヤ人虐殺、アメリカ人に育てられた朝鮮人孤児のアイデンティティ。 いずれも「告白する人物」と「告白をされる人物(語り手)」のかたちをとって、人間の心の奥深いところまで降りていく。 現実をベースにしながらそのまま描くのではなく、「Y字型の橋の中央」という虚点を設定する企みが著者らしい。
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