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ローマ人の物語(7) の商品レビュー

4.4

18件のお客様レビュー

  1. 5つ

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  2. 4つ

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2024/09/08

アウグストゥスのあと ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロまで。 いわゆるユリウス・クラウディウス朝時代の皇帝について。 アウグストゥスは血のつながったゲルマニクスに継がせたかったんだろうけど若くして亡くなってしまって、本来中継ぎみたいなポジだったティベリウスがそのまま治...

アウグストゥスのあと ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロまで。 いわゆるユリウス・クラウディウス朝時代の皇帝について。 アウグストゥスは血のつながったゲルマニクスに継がせたかったんだろうけど若くして亡くなってしまって、本来中継ぎみたいなポジだったティベリウスがそのまま治世を継続することに。The武人て感じの不器用な人。不器用だけど、帝政ローマの治世を間違いなく盤石にした。 カリグラは小さい時から父ゲルマニクスについて前線基地にいて、兵士たちからすごく可愛がられてた。頑固一徹、緊縮財政を敷いたのティベリウスから、若くてたくさん楽しい施策をうってくれるカリグラに皇帝が変わって、最初こそ市民から熱い支持を受けたけど、実際放漫すぎる治世に帝国の財政がボロボロになっていって、暗殺されちゃうっていう。。。 からの、不恰好な見た目で研究者として一生を終えるかと思われていたクラウディウスが皇帝に。書物で歴史を学んできたから意外と良い政治をしたけど、女性に舐められまくって、というか面倒くさがって女性の好き勝手を放置したことがあだに。 代わってネロの治世、暴君って呼ばれた理由のポイントはローマで起こった火災を理由にしたキリスト教徒 の粛清とか、辺境を守っていたベテランの粛清などかなあ。ギリシア文化に傾倒して自身歌を歌って竪琴弾いて競技会に出たり、ちょっとアホだけど、皇帝じゃなかったら単純でバカだけど憎めないおデブさんみたいになったのかもしれない。 クラウディウス皇帝の妻、ネロの母の(小)アグリッピーナについて。 確かに問題はあるかもしれないけど、父親だったらこうも疎まれなのでは。家父長制的伝統のローマならではだなあ。

Posted byブクログ

2022/11/15

専門家や歴史好きの一部からは批判されているが、私はこのシリーズが好き。単純に面白いから。正確な歴史を知るというより、ローマ人に想いを巡らせる上で、とても役に立つと思っている。 「悪名高き皇帝たち」では、ローマ帝国第二代皇帝ティベリウスから第五代皇帝ネロまでの治世が描かれている。カ...

専門家や歴史好きの一部からは批判されているが、私はこのシリーズが好き。単純に面白いから。正確な歴史を知るというより、ローマ人に想いを巡らせる上で、とても役に立つと思っている。 「悪名高き皇帝たち」では、ローマ帝国第二代皇帝ティベリウスから第五代皇帝ネロまでの治世が描かれている。カエサルが道を開き、アウグストゥスが作り上げた帝政を、次代の皇帝たちがどのように治めていくのかがテーマになっている。 ローマ帝国の面白いところは、皇帝があくまで市民の中の第一人者であるところ。強大な権力が付与されるが、それには元老院と市民の支持が必要なのである。冠を被ったステレオタイプの王様とは全くの別物だ。どちらかというと大統領に近い。そして大統領と同じく、高度な統治能力が求められるわけだが、皇帝になる誰もがこの能力を持ち合わせているわけでもない。というのも、カリグラ、クラウディウス、ネロの3名は実力というよりは血統と都合により祭り上げられて皇帝になっているからだ。なので能力を測られもせず国のトップに立っている。その割にクラウディウスは優秀だったのがローマにとっては幸いだったかもしれない。カリグラみたいな皇帝が三連続してたら流石に帝国も崩壊していたかも。。いや、流石にその前に手は打たれただろう。何故ならネロ帝のヤバさを痛いほど感じた軍団や元老院は彼の殺害を画策したのだから。この時代のローマ人には、悪い状況を修正する気概と能力があったのだ。そして修正力は血統主義から能力主義への移行に生かされたようだ。 このシリーズの面白さは扱う時代に左右される。正直なところ、ハンニバル戦役を描く2や、カエサルを描く4、5の方が手に汗握って面白い。平和なローマとなると、どうしてもハラハラする展開が少なくなる。それでもそこそこ面白いヒューマンドラマが楽しめるので、これからもこのシリーズを読んでいきたいと思う。

Posted byブクログ

2022/04/20

1.ティベリウス  おっさん 外観は共和政で内実は帝政を引き継ぐことに不明瞭さを感じる。誇り高き人で自分に厳しく周りにも冷徹。情で動かず着実に帝政の安全保障を進める。名門の出であることから、元老院との二人三脚を目指したが、阿呆に着いていけずむしろ帝政を盤石のものに進める。 2....

1.ティベリウス  おっさん 外観は共和政で内実は帝政を引き継ぐことに不明瞭さを感じる。誇り高き人で自分に厳しく周りにも冷徹。情で動かず着実に帝政の安全保障を進める。名門の出であることから、元老院との二人三脚を目指したが、阿呆に着いていけずむしろ帝政を盤石のものに進める。 2.カリグラ  若者 ティベリウスのように厳しく国益を追求すると民衆の不満を買うことが分かっていたため、民衆が喜ぶ政策を財政無視で行う。すぐさま膨大な国家黒字が赤字に。遠征に失敗し、手っ取り早い金策として元老院など富裕層から搾取するも、元老院はもちろん、民衆にも飽きられていた。統治4年目に殺害される。政治も人心も何もわかっていなかった皇帝ではなかろうか。 3.クラウディウス  おっさん 担がれた形で即位したが、歴史学者で知識のあるクラウディウスはストア派に影響を受け公益へ奉仕する。真面目人間。 4.ネロ  若者 皇帝としての正当性担保として血は有効であったが、それを知らないネロは自らその後ろ盾をなくし、大したことない実力で勝負を挑む。カリグラと同じように、自己管理能力が甘く、承認欲求タイプ。空回りし、皆に煙たがれ退位。同時に、帝政にアウグストゥスの血が絶えることとなった。 勝者と敗者を決めるのはその人自体の資質の優劣ではなく、持っている資質をいかに活用するか。

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2021/05/09

20210509 ティベリウスはパクス・ロマーナを守り、帝政をシステム化して多くの人材を発掘した賢帝。カリグラはティベリウスの不人気を見て人気取りに固執して自滅。クラウディウスは歴史を鑑にすることで期待以上の成果を成し遂げたが、畏敬の念を起こさせることができないという弱点により近...

20210509 ティベリウスはパクス・ロマーナを守り、帝政をシステム化して多くの人材を発掘した賢帝。カリグラはティベリウスの不人気を見て人気取りに固執して自滅。クラウディウスは歴史を鑑にすることで期待以上の成果を成し遂げたが、畏敬の念を起こさせることができないという弱点により近親者に倒された。ネロは権威の源泉であった母と妻を殺し、ローマ火災後の対応で誰も求めない都市改造とキリスト教徒へ罪をなすりつけた上での残虐行為を行い支持をなくす。さらに、ギリシャ文化に傾倒して、自ら歌うという奇行も重なり、元老院と近衛兵の支持を失って自殺する ・誰にも優しく、アウグストゥスの血を受け継ぎ、ゲルマン討伐でも功績のあったゲルマニクスへのティベリウスの冷遇に見える扱いと、彼の若い死は帝室に暗い影を落とした ・ゲルマニクスの妻であった大アグリッピーナとの確執で家族は崩壊し、最期の10年間はローマを離れカプリ島に隠棲した。そこに情報伝達網を築き、的確な指示で帝国統治は正常に機能したし、側近セイヤヌスの粛清も隠遁の地からやり遂げた。しかし、民衆と元老院の支持は失った ・歴史家タキトゥスの評価はローマに住む市民を代弁するものです、数で言えば圧倒的多数を占める属州民も含めた帝国全体の福祉に基づいた評価ではない。ニュースに基づく史学ではなく、細かなファクトの積み重ねである考古学の成果をもとにしたモムゼンの評価こそが全体の福祉を考慮に入れている ・カリグラはカリスマであるゲルマニクスの子供であり、自身も軍団のマスコットであった。彼の人気取りへの執着は凄まじく、神になろうとさえした。☆若くして全てを手にしたため、際限ない虚栄と、長く続くであろう治世への人々の恐怖を生み出した ・クラウディウスのガリア人への元老院議員の割当に対する賛成演説はローマの敗者をも同化させるポリシーの核心を表現。 ・敬意を与えない立ち居振る舞いのために、解放奴隷たちと妻の放縦を許し、自分の息子を皇帝にしたい小アグリッピーナの野心によって殺されたのではないかといわれている

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2019/03/07

アウグストゥスの後を継いだ4人、ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、そしてネロのお話。 これが「ある程度歳取ってて、地味だけど確実に成果を上げる人」と「若くて目新しいことを色々やるのだけど結果は無茶苦茶な人」が交互に皇帝になってるのが面白い。 そして後者は結局暗殺されたり自死...

アウグストゥスの後を継いだ4人、ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、そしてネロのお話。 これが「ある程度歳取ってて、地味だけど確実に成果を上げる人」と「若くて目新しいことを色々やるのだけど結果は無茶苦茶な人」が交互に皇帝になってるのが面白い。 そして後者は結局暗殺されたり自死に追い込まれたりしてるのが帝政のイメージとちと違うところ。 でもまあ、興味深いのはやっぱりネロ。 ローマ帝国のことを特に知らなくてもネロの名前は「暴君」の接頭辞で知ってる人が多いはず。 でも、後世にまで「暴君」として名が残っているのは、「キリスト教を(最初に)迫害したから」では?と示唆する内容、と言ってよかろう。 ネロより多くの血を流させた指導者はたくさんいたのだし。 それはタイトルの「悪名高き」という表現にも現れていると思う。悪名は高いけど、愚帝とか暴君とかは書いてないのよね。 (9)のタイトルが「賢帝の世紀」なのと対称的。 …ま、もちろん、塩野女史の解釈を受け入れるならば、ということなのだけど。

Posted byブクログ

2018/10/23

ローマ人の物語は、塩野ファンのみならず、どなたにもお勧めしたいシリーズ。この巻では、悪名高い皇帝たち。ここまで、こんなダメ皇帝が続いてもびくともしないローマって?

Posted byブクログ

2017/03/08

ティベリウスからネロまで。 正直アウグストゥスの時代をややかったるく読んでしまったのでどうかな…と思ってたんですが、読んでみると案に相違して面白かった。 印象的なのはティベリウス、クラウディウスの堅実な代わりに華のない治世のあとのカリグラ、ネロの即位時の市民や元老院の熱狂。 特に...

ティベリウスからネロまで。 正直アウグストゥスの時代をややかったるく読んでしまったのでどうかな…と思ってたんですが、読んでみると案に相違して面白かった。 印象的なのはティベリウス、クラウディウスの堅実な代わりに華のない治世のあとのカリグラ、ネロの即位時の市民や元老院の熱狂。 特にネロの即位時はカリグラを彷彿とさせて、華々しいことばかりに終始しティベリウスの黒字財政を破綻させた、かつてのマスコットだった若き皇帝のことは思い? 出さな?? かったのか??? と首をひねってしまうのだけど、当時に生きるということはそういうことなのかもしれないなあ。

Posted byブクログ

2012/11/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この第七巻の副題が「悪名高き皇帝たち」となっている。 よく聞かれるのは暴君ネロなどであるが、実際にどのようなものであったのだろうか。 まずはティベリウスであるが、最終的にはローマ市民には不評であった皇帝であるが、市民に人気はないが、政治の中身はアウグストゥスの意思をひたすら受け継いでいくというものであった。 カプリに隠遁して文書のみでの支持というのが不評の原因であるが、現代でもマスメディアに顔を出しているほうが人気があり、票が集まるもの同様である。 つづいてのカリグラはアウグストゥスの血のつながりだけで皇位についたようなもので、金銭感覚がなく、外交に関しても経験不足であった。 今でいうところの二世政治家といったところか。 元老院は即位直後にすべての権限を授与したことが問題であろう。 抑止力がなくなってしまった。 結局、カリグラはもっとも身近な近衛軍団大隊長に暗殺されるが、この暗殺を実行した者がカリグラ憎しというよりは、著者のいうところの「不肖の息子を殺す父親の気持ち」で、と私も考える。 そして四代目の皇帝クラウディウスの登場であるが、無理やり担がされた感のある彼だが、歴史を学び続けてきた彼ならではの政治は、ローマ帝国を盤石なものにしたのではないだろうか。 庶民からは敬意を払われることはあまりなかったようだが、カエサル、アウグストゥスの考えたローマ帝国を作ったのは彼ではなかったか。 残念なことにメッサリーナ、アグリッピーナという欲望のかたまりのような女を妻に迎えたこと、政治以外の疎すぎたことが彼の人気がなかった要因であろうが、私個人的には好きな皇帝である。 そしてこの巻最後に登場するのが暴君で名の知れたネロ。 母・アグリッピーナの欲望のために16歳にして皇帝にさせられた、という感じの彼である。 いくら古代といえども16歳では遊びたい盛りであったろう。 それに軍事・政治経験もなし。 側近として優秀な人材がいたにしろ、あの広大なローマ帝国の皇帝をやるにはすべてにおいて幼すぎたのではないか? 結局は、母、妻を殺し、有名なキリスト教へ罪をかぶせての虐殺と悪いイメージばかりであるが、彼ならではの奇抜な発想は、今までの皇帝にはなく、現代のわれわれには好感のもてる部分も多かったように思う。 しかし、古代ローマでは皇帝は市民の「安全」と「食」を維持するものと考えられていたわけで、皇帝の座を他者に譲って・・・というわけにはいかなかったか。 しかしネロ=暴君というイメージは多少変わった。 若気の至りという感じさえある。 ここまで来るとローマ帝国のイメージもずいぶんと変わってきた。 寡頭政と君主制。 やはりどちらがいいのかは難しい問題であることは変わりはないが。

Posted byブクログ

2012/09/10

ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロ―帝政を構築したアウグストゥスの後に続いた四人の皇帝は、人々の痛罵を浴び、タキトゥスら古代の史家からも手厳しく批判された。しかしながら帝政は揺るがず、むしろその機能を高めていったのはなぜか。四皇帝の陰ばかりでなく光も、罪のみならず功も、...

ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロ―帝政を構築したアウグストゥスの後に続いた四人の皇帝は、人々の痛罵を浴び、タキトゥスら古代の史家からも手厳しく批判された。しかしながら帝政は揺るがず、むしろその機能を高めていったのはなぜか。四皇帝の陰ばかりでなく光も、罪のみならず功も、余すところなく描いて新視点を示した意欲作。ローマ史を彩る悪女・傑女も続々登場。

Posted byブクログ

2012/02/01

悪名も高名も、ちょっとした勘違い、ちょっとした自己認識や時代認識の違いによってどちらにころぶか分からないものだとつくづく思う。殺されたり、自死せざるを得なかった皇帝たちも、どこかほほえましい部分もある。

Posted byブクログ