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冬子の場合 の商品レビュー

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2009/10/04

この方も、謎の人。ちょっと検索した程度では出てこなかったかなー。でもこの人はあとがきもあったので、多少…うーんでも謎かなぁ。 ええと、これは結構、痛いところをついたというか。いや、触れにくい話題を扱ったというかね、うん。まぁでも感想を書く上で触れないわけにもいかんので、ハッキリ。...

この方も、謎の人。ちょっと検索した程度では出てこなかったかなー。でもこの人はあとがきもあったので、多少…うーんでも謎かなぁ。 ええと、これは結構、痛いところをついたというか。いや、触れにくい話題を扱ったというかね、うん。まぁでも感想を書く上で触れないわけにもいかんので、ハッキリ。 「身体障害者」と「奇形」の「性」 うわーっと、タイトルからは想像も付かない暗さだ。だって借りた時は別にそんなつもりはなくって、普通の話だと思っていたんだもん。いや、別に、確かに触れにくいテーマだけど、もっと考えないといけない問題でもあるし、社会問題としては重要だとも思う。単純に他人事だなんて言って、取り扱わないなんて無理だし、気になるテーマではあるんだけど。 半身不随になった青年が病院の看護婦「冬子」と性交渉を結ぶがしかしその実…という話。あとがきにもあるのだけど、恋愛小説と言うには官能小説的で、官能小説と呼ぶには文学的。使われている言葉も、思い切りストレート、かといって、いわゆるオッサン向けの官能小説のような欲望丸出しの話でもない。ちょっとグロテスク。ネタバレになってしまうけれど、「冬子」は元奇形児で膣欠損症という病気だったのだ。膣欠損症とは、その名の通り、性染色体・性腺ともに正常な女性型でありながら、特に明白な理由もなく膣が欠けている、先天性である事の多い病気。子宮も欠けているか未発達だが、卵巣は通常に機能しており、肉体的には月経を除く二次性徴は通常通り起こる。そのため、子どもの時に膣形成手術が行なわれることが多いという。手術によって、正常なセックスや妊娠出産も可能になるのだが、手術によって形成された膣に対して、不安を持つ女性が多く、その不安の為、性行為や妊娠を避ける傾向にある。 で、その障害を持った冬子には、実は婚約している相手がおり、愛し合っているのだが、自分の欠陥に対する不安から、その相手との性行為が出来ないで居る女性だった。主人公の青年は、もちろん冬子の事情など知るよしもなく、自分に近づいてくる冬子に性欲を抱くようになり、冬子に誘われるがままに性交渉を持ってしまう。きっかけは排尿の為の導尿の際ペニス受けた刺激による勃起からだった。自分の意識や性欲とは無関係に、また半身不随による感覚の麻痺があるにもかかわらず反応するペニスに、主人公は酷く動揺し屈辱を受け、自尊心を傷つけられてしまう。そして、介護をする看護婦達のほんの少しだけ見せる困惑した表情。当然の事ながら女性不信に負い散りそうになる主人公だが、冬子だけは、彼に違った態度を取った。面倒な顔一つせず、親しみを込めて介護をする冬子に、主人公が惹かれていくのは当たり前だった。 と、まぁ、物語をつづるとこういった感じで。この手の話は、どうも感想を書きにくい。同情したくても、想像出来ない苦しみというのに対して、意見を言うのは気が引けるからだろうか。何だかよく分からないけど、とにかく読んでいても、顔が引きつるような目を反らしたくなるような、何とも言えない感じになった。 ただ、あんまりそのー、性的な単語とか、好きじゃないし。いや、なんかさー、そういうもんに対する抵抗を持たなくなるのも、イヤでしょ。というわけで、なんとも後味の悪い、お話ではあった。

Posted byブクログ