潤一郎ラビリンス(6) の商品レビュー
「玄弉三蔵」、「ハッサン・カンの妖術」のみ取り急ぎ。 「ハッサン・カンの妖術」に出てくるミスラ氏は芥川龍之介の「魔術」にも出てくる人物。こちらのミスラ氏は妖術をあまり使いたくない、もっと科学的に生きたいと思っている印象が強かった。 「玄弉三蔵」は空気感が伝わってくる感じで、...
「玄弉三蔵」、「ハッサン・カンの妖術」のみ取り急ぎ。 「ハッサン・カンの妖術」に出てくるミスラ氏は芥川龍之介の「魔術」にも出てくる人物。こちらのミスラ氏は妖術をあまり使いたくない、もっと科学的に生きたいと思っている印象が強かった。 「玄弉三蔵」は空気感が伝わってくる感じで、リアリティがあった。信仰の皮肉も少し。
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野崎歓氏の著作から関心を持った「独探」「ハッサン・カンの妖術」「玄奘三蔵」を読む。 スパイのオーストリア人、須弥山に行ける魔術使いのインド人、それぞれの親近感が暖かい。
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大正時代の、つまり初期の、バリバリのモダニスト風だった谷崎潤一郎の短編小説を集めた、この中公文庫の「ラビリンス」シリーズ、久々に読んだ。このシリーズにはあまり面白くないものもあったが、中にはすごく印象のふかい、当時の日本文学をはるかに超えたような傑作もあって、探索が楽しめる。 6...
大正時代の、つまり初期の、バリバリのモダニスト風だった谷崎潤一郎の短編小説を集めた、この中公文庫の「ラビリンス」シリーズ、久々に読んだ。このシリーズにはあまり面白くないものもあったが、中にはすごく印象のふかい、当時の日本文学をはるかに超えたような傑作もあって、探索が楽しめる。 6巻は谷崎の若い異国趣味をテーマにしたもの。 冒頭の「独探」に出てくる外国人が、妙に飄々としてあざとく、インチキくさい感じなのだが、こういう人いるよなあ、というリアリティを感じた。 ところで谷崎の「西洋崇拝」は、あの独特のマゾヒズムにもたぶん関連しているのだろう。谷崎的心理は理解できなくもないし、不思議とエロティックな文体と相まって心を震撼させる魅力を持つ。 今回の作品集では、まだ文体の妙はじゅうぶん開花していない気がするが、インドの宗教の神秘性を「あらぬ方向からの視線で」描いているような「玄奘三蔵」「ハサン・カンの妖術」が面白かった。
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