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遠い崖 の商品レビュー

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2013/12/11

 日本の幕末の激動時代を、ヨーロッパなどの西洋諸国はこう見ていたのかと、ワクワクドキドキしながら本書を読んだ。  「薩英戦争」「下関遠征」。西洋諸国連合艦隊によるこの二つの闘いは、歴史の転換点の一つであると思うが、この「戦争」に至るまでの諸国の政治的な動きを詳細に追いかけることは...

 日本の幕末の激動時代を、ヨーロッパなどの西洋諸国はこう見ていたのかと、ワクワクドキドキしながら本書を読んだ。  「薩英戦争」「下関遠征」。西洋諸国連合艦隊によるこの二つの闘いは、歴史の転換点の一つであると思うが、この「戦争」に至るまでの諸国の政治的な動きを詳細に追いかけることは、この時代の日本を知ることでもあると思えた。  日本における各国「公使」と本国の「外相」との間でかわされる「公信」「半公信」「訓令」等の記録を駆使しての、それぞれの「国家意思」と「思惑」のせめぎあいは、歴史の結果を知った現在の目からみても、実に興味深い。  それにしても、「公信」と「訓令」のやり取りに往復で4ヶ月もかかる時代だとは。現在では想像もつかない世界だ。  派遣された「大使」や「公使」に大幅な裁量権がなければとても物事は進められなかっただろう。まさに「英雄の時代」であり、「古きよき時代」だったと思われた。  本書は、歴史の結果のみならず、「歴史とはこのような動きをするものだ」と教えてくれるすばらしい本であると思う。

Posted byブクログ