空気げんこつ の商品レビュー
20世紀末の旧刊だが、昔なつかしい話に予言的な文言も見え隠れしている。 「エロスと性」で、難解なバタイユの思想を概説してくれたのは有難い。ただし「禁止が幻想を生み、幻想が禁止の侵犯の欲望をかきたてる」というのはキリスト教なかんずくカトリック文化圏に顕著として、本邦ではどうだろ...
20世紀末の旧刊だが、昔なつかしい話に予言的な文言も見え隠れしている。 「エロスと性」で、難解なバタイユの思想を概説してくれたのは有難い。ただし「禁止が幻想を生み、幻想が禁止の侵犯の欲望をかきたてる」というのはキリスト教なかんずくカトリック文化圏に顕著として、本邦ではどうだろう。 「空気げんこつ」の意味するところがあとがきで明かされる。オカルト好きにはたまらないユイスマンスの逸話が出典か。澁澤龍彦「悪魔のいる文学史」で確認する要あり。 追記:「悪魔のいる〜」では「流体の拳固」になっていた。「空気げんこつ」というのは著者の洒落た勘違い。
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