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2010/05/31

『本に読まれて』とは、なんだかおさまりの悪いタイトルですが、須賀敦子の文章が好きなので、彼女が書いた書評はどんなものかと、読んでみました。 第一部は新聞掲載の書評、第二部は好きな本について、そして第三部は読書日記という構成になっています。 東西の古典や現代小説に詩集など、知らな...

『本に読まれて』とは、なんだかおさまりの悪いタイトルですが、須賀敦子の文章が好きなので、彼女が書いた書評はどんなものかと、読んでみました。 第一部は新聞掲載の書評、第二部は好きな本について、そして第三部は読書日記という構成になっています。 東西の古典や現代小説に詩集など、知らない本がほとんどで(読了本はピーター・メイル『南仏プロヴァンスの12か月』とジッド『狭き門』、フローベール『素朴な女(フェリシテ)』のみ)、通常、未読の書評には興味が湧かないものですが、彼女の丁寧な文章を読むだけでも、文学的な気持ちになれます。 自分の思い出と交えつつ、書籍の感想を書いていき、褒めるだけではなく、文の誤訳や唐突さなどへのぴりりとした批評も忘れていない、本に媚びないこの人自身の感想が誠実に書かれていました。 さまざまなジャンルの本を読まれていることに驚きます。このお上品で落ち着いた文章を書く人が、不条理と暴力の色濃いポール・ボウルズの作品(特に『シェルタリング・スカイ』)にはまったとは、意外でした。 私は、かなり本の好き嫌いがあるし、書評らしき感想も全く書けていないため、そんな甘えた我が身を反省するいいきっかけになった本です。 とりあえず、自分が読めそうなデュラスの『北の愛人』、フォースターの『天使も踏むを恐れるところ』、池澤夏樹の『スティル・ライフ』辺りを読んでみようと思いました。

Posted byブクログ